2013年12月18日水曜日

福島県警よ、福島県民の仇を取れ!

12月17日「外国人記者クラブでの会見」、18日「汚染水流出事件第二次告発」が無事に終了いたしました。

◆まずは、記者会見における武藤類子(福島原発告訴団団長)のスピーチ原稿を掲載いたします。
 
福島原発告訴団は2012年3月に福島県で結成されました。
2011年3月11日の原発事故から一年がたっても、事故の責任が明らかにされず、だれも処罰をされない現状があったからです。

事故の被害は甚大です。16万人が家を追われ、職業を失い、家族や地域社会がバラバラにされました。原発のサイト内で職員が亡くなり、双葉病院では避難中に50人の高齢者が亡くなりました。自殺者もいます。家畜や動物たちも命を落としました。子どもたちは外で遊べなくなりました。
山林や田畑、居住地も広大に汚染されました。食べ物に放射性物質が検出されました。人々は健康被害に怯えて暮らす人生となりました。
2011年度、2012年度までの18歳以下の甲状腺検査の結果、約23万人中59人が甲状腺がんまたはがんの疑いとなっています。福島県県民健康調査では原発事故による放射能との関係はないと断定していますが、明らかな多発として原因を調べるべきだと主張する学者もいます。

原発事故の被害は今も拡大しています。
原子炉からは今も一時間に1000万ベクレルの放射性物質が大気中に放出されています。原発建屋海側の観測井戸から検出される放射性物質の濃度は、日々上り続けています。原発サイト内では、一日3000人の作業員が高い線量の中で働いています。問題の汚染水を浴びることさえあります。多重化した下請け構造のため、正当な対価を受け取れない作業員も多くいます。作業員の半数以上は福島県民です。事故により仕事を失ったために原発で働く人も多くいます。
除染もまた、原発で儲けたゼネコン会社が利権を獲得し、多くの福島県民が作業員となっています。あまり効果の期待できない除染で出た膨大な放射性の廃棄物は、黒や青い色のフレコンバッグに詰め込まれ、耕作出来ない田んぼに積み上げられ、あるいは家の敷地の中に置かれたり、庭に埋められたりしています。フレコンバッグに放射線の測定器を近づけると周囲の10倍くらいの線量になります。

このような被害があるのに、加害者の責任が問われないのはどう考えてもおかしなことです。昨年6月に福島県民1,324人が東京電力の幹部や経産省の役人など33人を刑事告訴しました。その後全国に告訴・告発人を募り、合わせて14,716人の大告訴団となりました。この告訴は今年の9月9日に全員が不起訴となりました。福島地検がこの事件を東京地検に「移送」したために、処分は東京地検が出しました。そのため、一般有権者によって開かれる検察審査会への申立てが福島ではなく、東京でしかできなくなりました。福島県民による判断を避けるためだとしか思えません。
今年の10月16日と11月22日に、5,740人が東京検察審査会に申し立てを行いました。現在、東京検察審査会第5審査会が、検察の処分が妥当なのかを審査しています。

それに並行して、私たちは今年の9月3日に東京電力を「公害罪」で告発しました。これは汚染水放出事件に対する告発です。後で弁護士から詳しく説明がありますが、予測された汚染水の漏えいに対して、東京電力が対策を取らなかったことが原因の事件です。
元々福島原発は地下水が大量に流れ込む立地にあり、事故前から地下水を井戸で汲み上げて建屋にかかる浮力を逃がしていました。地下水が建屋に流れ込み汚染水となって海に漏れ出すことは、予測出来たことです。また、汲み上げた汚染水のタンクは応急的なものであり、メーカーが品質を保証していなかったにも関わらず漏えいが起きるまで2年半も使いつづけていました。
事故の前も、高い津波の試算をし、予測をしていたが対策を取りませんでした。事故の後も、東京電力の体質は全く変わっていません。
汚染水の漏えいにより、サイト内で働く作業員は更に大量の被曝を強いられています。実際に汚染水を浴びる事故も起きています。雨が降る度にタンクの堰の汚染水が外洋につながる側溝に流れ込みます。
今年の夏に、いくつかの海水浴場が解禁となり、こどもたちが泳ぎました。そのさなかに発覚した放出事件でした。
海への大量放出は漁業者たちに大きな影響を与えます。また、世界の命の源である海の汚染は深刻な問題です。
東京電力がお金を惜しまずに、早い段階に対策を講じていれば、ここまで手に負えない状況にはならなかったと思います。これは犯罪的な行為だと思います。
明日、福島原発告訴団は、第2次告発を福島県警に行ないます。6,042人が委任状を送ってくれました。それを提出に行きます。是非取材をお願い致します。

もう一つお知らせ致します。
この本は、今年の8月に出版した「これでも罪を問えないのですか!」です。検察に最初に告訴した時の陳述書です。自分が受けた被害を綴った7000通の陳述書のうち、福島県民50人を選び許諾を得て本にしました。7歳の少年から88歳の女性まで、さまざまな職業や立場の方が書いています。今日はその中の3編を英語に訳して来ました。原発事故が人々から何を奪い、何をもたらすかがわかると思います。良かったら、10冊ほど持って来ていますので、お求め下さい。

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◆18日、6042筆の委任状を添えて、汚染水流出事件の第二次告発を行いました。汚染水流出事件のポイントは、海渡雄一弁護士のパワーポイントをご覧ください。
汚染水流出問題と福島原発告訴団の告訴について

 
「結果がわかっていながらお金を惜しんで対策を怠り、品質保証のない、漏れることが明らかに予想できたタンクを、ただ漫然と2年半作り続けた結果、汚染水は流出した。これが公害罪に問えない理由はない。福島県警には、福島県民の仇(かたき)を取ってほしい!」と海渡弁護士。
 
福島県民はもちろん、原発作業員のみなさんも、全国全世界のみなさんも、東電が当然の業務を怠った結果として、無用の被曝に晒されていることを強く認識して、福島県警の奮起を後押ししていくことが大事です。今後、適正な捜査が行われ、立件されることを願って、声をあげ続けましょう。