(風のたよりー佐藤かずよし より転載)
2018年 01月 27日
1月26日、福島原発事故の責任を問う、東電3被告の刑事裁判(業務上過失致死傷罪)の第2回公判が開かれました。
1月26日午前7時30分、冷え込んだ厳寒の東京地裁前に到着。まだ係員もおらず正門は閉まっていました。午前10時からの開廷に向け、傍聴券の抽選のための傍聴整理券の交付指定場所を確認。今回、傍聴整理券の配布時間は8時20分から9時までになり、97席の傍聴席のうち報道関係者用などを除いた、63の一般傍聴席のため約250人の方が並びました。
8時30分、東京地裁前のアピール行動がはじまり、東京地裁刑事第4部永淵健一裁判長あての『厳正な判決を求める署名』の第1回提出分3,127筆を集約を確認、9時に代表団が提出しました。
9時、傍聴券の抽選結果をうけて、地裁104号法廷へ。筆記用具以外は持ち込み禁止、前回同様、一人一人携帯品を全部取り出ささせ、体を金属探知機と衛士によるボディタッチという、最高裁判所並みと言われる異例のボディチェックが今回も実行され、ようやく入廷しました。
裁判官3名と検察官役の指定弁護士5名、被害者参加制度により委託を受けた弁護士5名、被告弁護人7名が着席していました。東電旧経営陣の勝俣、武黒、武藤の3被告は、何と、裁判長の指示で冒頭のテレビ撮影が行われた後に、入廷してきました。勝俣被告は眼光鋭く、武藤被告共々元気そうです。
10時、永渕健一裁判長が開廷を宣言。
福島原発告訴団は、東京電力福島第一原子力発電所の事故により被害を受けた住民で構成し、原発事故を起こし被害を拡大させた責任者たちの刑事裁判を求めて2012年、福島地方検察庁へ告訴を行いました。検察庁が全員を不起訴とするも、市民からなる検察審査会は強制起訴を決定しました。2017年6月30日に初公判が開かれ、刑事裁判がスタートしました。
2018年1月30日火曜日
2018年1月29日月曜日
刑事裁判傍聴記:第二回公判(添田孝史)
2018年1月26日、都心の気温は午前7時前にマイナス3.1度まで下がっていた。
東京地裁で7か月ぶりに開かれたこの日の第2回公判から、証人を呼んで指定弁護士(検察側)、元東電3幹部の弁護側が尋問する形で裁判が進められた。
この日の証人である上津原勉氏は、事故当時は原発の安全対策を担う原子力設備管理部の部長代理。事故後は、東京電力自身による事故調査の報告書の作成に関わり、データを集めたり、原案をまとめたりする仕事を担当していたという。
昨年6月の初公判を私は傍聴できなかったので、今回初めて、被告人や弁護士などを見ることができた。
「ああ、この人が強制起訴を決めた検察審査会で補助員をしていた山内久光弁護士か」などと思いながら法廷に並ぶ顔ぶれを眺めていた。法廷左手の弁護側席の後ろの列に、被告人の武藤氏、勝俣氏、武黒氏が並んで座っていた。武黒氏は、やや顔色が悪いようにも見えたが、勝俣、武藤両氏は元気そうだった。勝俣氏は右手で頬杖をついて、証人の方に強い視線を向けているときもあった。
公判の午前中は事故に関する基礎的な事実関係のおさらい。
原発の説明の現場で良く見かける日本原子力文化財団の資料
http://www.ene100.jp/map_5
などを使い、原発の仕組みや、東電福島事故の経過などを上津原氏が説明した。
その後、法廷で進められたやりとりでは、ポイントは二つあったように見えた。
「想定超え対策」は後知恵なのか
一つは、海辺に建設する防潮堤、敷地上に作る防潮壁、重要機器の水密化、発電機を高台に設置するなどの対策を事前に行えば、事故を防ぐことができたのかどうかだ。弁護側の宮村啓太弁護士は、そのような対策をする発想は事故後の「後知恵」であって、事故前には、どこも検討さえしていなかったと証人から引き出そうと、質問の仕方を様々に変えながら繰り返した。それに応じて上津原氏は「想定を超える津波への対策を検討したことはない」という趣旨のことを述べた。「それは事実と異なっているな」と思っていたら、傍聴席右手の指定弁護士側席の後ろの列から、石田省三郎弁護士がムクリと立ち上がった。そして、上津原氏に東電社内の福島地点津波対策ワーキング会議で2010年8月以降、想定超え津波に対する検討が実施されていたことを指摘。上津原氏は「それは知っている」と答えた。
「想定超えを検討したことはない」という上津原氏の前言が鮮やかにひっくり返され、オセロゲームを見ているような感覚だった。
「防潮壁は南側だけ」のわかりにくさ
もう一点、宮村弁護士が強調しようとしていたのは「地震本部の長期評価にもとづいて防潮壁を作るとしても敷地南側だけになった。だから今回の津波は防げなかった」という従来からの東電側の主張だ。津波シミュレーションを時系列で並べた図、敷地内の津波水位分布図などのカラー図版(弁護側資料3)を証言台横の書画カメラで映し出し、「この図からどんなことがわかるか」と、上津原氏に説明を求めた。
宮村弁護士は、敷地南側の前面で水位が高いので、南側だけに防潮壁を作ることを検討することになっただろうという証言を期待していたように見えた。しかし、そもそも図の意味が説明されていないので、傍聴者には、法廷でのやりとりの内容が、とてもわかりづらかった。
カラー図版のうち、いくつかは東電株主代表訴訟ですでに提出されているものと同じに見えたが、見たことのない水位分布図もあったからだ。公判後に海渡弁護士らに図の意味を教えてもらって、弁護側の「防潮壁は南側だけになる」という主張に、相当無理があることが、ようやく理解できた。
今後の公判でも、証拠書類の詳細が示されないまま法廷で専門的なやりとりがなされれば、傍聴する人が理解するのは、とても難しいだろうな、と予感させられる出来事だった。これから、さらに専門的な証人が続くので心配である。
2008年6月10日の会合
上津原氏は、2008年6月10日に、武藤氏に15.7mの津波高さが報告された重要な会合にも出席していた。その時の記憶を尋ねられると、「当事者としての記憶と、事故調とりまとめにおける記憶とが重なっている」という趣旨の発言を繰り返した。そもそも上津原氏は、機械のメンテナンスなどが専門であり、津波予測の信頼性についての証言に重みがあるとは思えない。しかし事故に関わる重要な会合に当事者として参加していた人物に、事故調査報告をとりまとめさせていたとは、東電の事故調査に対する姿勢が疑われる。今後の公判で、20人以上登場する証人は、より事件の核心に近い人に近づいていくようだ。これまで隠されてきた事実が、明るみに出されることを期待する。
添田 孝史 (そえだ たかし)
サイエンスライター、元国会事故調協力調査員
著書に 『原発と大津波 警告を葬った人々』、『東電原発裁判―福島原発事故の責任を問う』
(ともに岩波新書)
2018年1月28日日曜日
第二回公判期日報告
1月26日、雪がまだ残る都内。今回は傍聴抽選券が8時20分から9時までの配布になったため、福島始発の新幹線でも行列に並ぶことができました。状況が改善されたことには感謝しますが、そもそも福島地裁で行われていれば…と思わざるを得ません。東京地裁での傍聴には、時間とお金と手間がかかるのです。
5月8日(火)、9日(水)、29日(火)、30日(水)
6月1日(金)、12日(火)、13日(水)、15日(金)
前回と同じように厳重な身体検査を終えて法廷内へ。前回1列目に着席した被告人3人は、3列目に座りました。
10:00 裁判長から争点の説明
10:12 証人入廷
証人は、3.11当時、東電の原子力設備管理部の部長代理で、その後、東電事故調で報告書の取りまとめに関与した社員。午前中は、福島原発の仕組みや、原発と原爆の違い、発電方法、火力との違い、制御棒や5つの壁など、原発に関するレクチャーを受けているかのような質問が続きました。そして、報告書の中で指摘された津波を防ぐ措置、非常用電源を高台に置く、防潮堤を築く、扉の水密化などが取られていたら、事故を防げたことも認めました。
昼休憩
13:15 再開
続いて午後も、OP10mの敷地の上に10mの防潮堤を築いていれば、津波を防げる可能性があったことを証人は陳述。工事は大規模で困難なものになっただろうとの言葉もありましたが、できることであるなら、間違いなくやるべきだったと思います。
被告側の弁護士は、10m+10mの工事がいかに困難かを示すためか、証人に復水器の取水配管と放水配管の位置を地図上で示すよう求め、2色のマーカーで色付けをする時間を長く取りました。そうした「大変」アピールも、「大規模なものになるが可能」という証人の証言で否定されたと思います。
H20.6.10の津波対策会議に証人も出席し、そこで津波が最大15.7mの可能性があることを社内の土木調査グループから告げられました。その会議で、証人自身は発言していないそうですが、「違和感を覚えた」と証言しました。その日に配布されたカラーの資料に「10mに10mの壁が必要」という記載があるのですが、証人は「記憶がない」と答えました。「土木調査グループの担当者とは立ち話をしたが、試算の精度について回答はもらっていない。違和感は払拭されなかった」と証言。さらに「土木学会に検討を依頼したことは妥当な判断だった」と、東電がこの問題を先送りしたことは正しい判断だといった証言もありました。
しかし、それまで最大6.1mだった津波想定の倍以上の数字が出てきたというのに、「違和感」程度の感覚しかなく、先送りは妥当という認識も、原発を扱う企業として無責任なものではないかと思いました。もし何かあれば、多くの人の命を奪い、さらに多くの人の人生を狂わせる原発。それを扱う企業はもっともっと臆病でなければいけないと思います。不安要素がひとつでもあるなら、炉を止めて万全の対策をすべきだったのです。東電の無責任な姿勢を改めて見たように思いました。
16:30 閉廷
次回は2月8日。
第3回以降の 公判期日予定
2月8日(木)、28日(水)
4月10日(火)、11日(水)、17日(火)、24日(火)、27日(金)5月8日(火)、9日(水)、29日(火)、30日(水)
6月1日(金)、12日(火)、13日(水)、15日(金)
*2月8日は10~12時頃、他は10時~17時頃
*傍聴整理券配布時刻は未定ですがおそらく8時20分~9時頃と思われます。
裁判所HPでご確認ください。判明しましたら当ブログにも掲載いたします。
2018年1月16日火曜日
第二回公判期日 傍聴券配布時間が発表されました
東京電力福島第一原発事故の責任をめぐって、業務上過失致死傷の罪で強制起訴された福島原発刑事訴訟の第二回公判期日が、1月26日に開かれます。
裁判所は、今日、傍聴整理券配布時間を公表しました。
報道によると、第二回公判期日では、東京電力の事故調査報告書を取りまとめた社員への証人尋問が行われるようです。津波対策等の社内の議論について、この証人がどのような事を知っていたのか、事実を包み隠さず証言してくれるのか注目です。
初公判期日の際は、傍聴整理券配布締め切り時間があまりにも早く、福島からでは間に合わない方もおり、配布時間を見直していただくよう要請しました。(参考:2017年10月13日付記事)
事情をくみ取って頂けたのか、次回は配布時間が繰り下がります。席は限られますが、多くの方に裁判所まで来ていただけますよう呼びかけます。
福島からは貸切バスを出します。ご乗車になる方はご連絡ください。
第二回公判期日
1月26日(金)
東京地方裁判所
8:20~9:00 傍聴整理券配布
8:40~9:00 東京地裁前行動
9:00~ 『厳正な判決を求める署名』第1回提出
10:00 開廷
院内集会 参議院議員会館 講堂
11:00~ 院内集会 午前の部 リレートーク等
12:00頃 午前の公判の報告 弁護団より報告
休憩
14:00~ 院内集会 午後の部 呼びかけ人・神田香織さんスピーチ
~16:20頃 土井敏邦さん監督映画試写・スピーチ など
記者会見 参議院議員会館 講堂
開始時間:公判終了の30分後から 弁護団の解説等
福島からバスが出ます!
行き 福島駅西口前 6:00~郡山教組会館7:00
帰り 参議院議員会館19時頃発(公判の終了時刻によって多少前後します)
お問合せ:080-5739-7279(告訴団事務局)
裁判所は、今日、傍聴整理券配布時間を公表しました。
報道によると、第二回公判期日では、東京電力の事故調査報告書を取りまとめた社員への証人尋問が行われるようです。津波対策等の社内の議論について、この証人がどのような事を知っていたのか、事実を包み隠さず証言してくれるのか注目です。
初公判期日の際は、傍聴整理券配布締め切り時間があまりにも早く、福島からでは間に合わない方もおり、配布時間を見直していただくよう要請しました。(参考:2017年10月13日付記事)
事情をくみ取って頂けたのか、次回は配布時間が繰り下がります。席は限られますが、多くの方に裁判所まで来ていただけますよう呼びかけます。
福島からは貸切バスを出します。ご乗車になる方はご連絡ください。
第二回公判期日
1月26日(金)
東京地方裁判所
8:20~9:00 傍聴整理券配布
8:40~9:00 東京地裁前行動
9:00~ 『厳正な判決を求める署名』第1回提出
10:00 開廷
院内集会 参議院議員会館 講堂
11:00~ 院内集会 午前の部 リレートーク等
12:00頃 午前の公判の報告 弁護団より報告
休憩
14:00~ 院内集会 午後の部 呼びかけ人・神田香織さんスピーチ
~16:20頃 土井敏邦さん監督映画試写・スピーチ など
記者会見 参議院議員会館 講堂
開始時間:公判終了の30分後から 弁護団の解説等
福島からバスが出ます!
行き 福島駅西口前 6:00~郡山教組会館7:00
帰り 参議院議員会館19時頃発(公判の終了時刻によって多少前後します)
お問合せ:080-5739-7279(告訴団事務局)
ひだんれん「いのち・暮らし・人権を考えるシンポジウム」
ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)主催のシンポジウムが郡山市ビッグアイで開催されます。
原発事故後の放射線被曝を軽視した帰還政策の中では、避難者も、福島に生きる人も、同じように著しい人権侵害を受けています。
私たちは何ら分断されるものではなく、同じ被害者です。
私たち被害者は、どのようにして奪われた人権を取り戻したらよいのでしょうか。
このシンポジウムを通じて、共に考え、共にこの状況を変えていきましょう。
●日時:2018年1月21日(日)
●会場:市民交流プラザ 大会議室(郡山駅前ビッグアイ7階)
●プログラム
13:30 開会あいさつ
13:35~14:20 基調講演「原発震災と奪われた人権・行政の責任と役割」
今井 照さん( 公益財団法人 地方自治総合研究所主任研究員)
14:20~15:20 シンポジストからの発言
中里見 博さん(大阪電気通信大学工学部人間科学研究センター教授)
崎山 比早子さん(特定非営利活動法人 3・11甲状腺がん子ども基金代表理事)
千葉 由美さん(いわきの初期被曝を追及するママの会代表)
15:20~15:30 休憩
15:30~16:30 ディスカッション
コーディネーター 佐藤和良(ひだんれん幹事・いわき市議会議員)
16:30~16:50 ひだんれんの紹介、閉会あいさつ
●連絡先:Tel 080-2805-9004 /メール hidanren@gmail.com
ブログ:http://hidanren.blogspot.jp/
ひだんれん主催 「いのち・暮らし・人権を考えるシンポジウム」
原発震災から7年が経とうとしています。原発事故後の放射線被曝を軽視した帰還政策の中では、避難者も、福島に生きる人も、同じように著しい人権侵害を受けています。
私たちは何ら分断されるものではなく、同じ被害者です。
私たち被害者は、どのようにして奪われた人権を取り戻したらよいのでしょうか。
このシンポジウムを通じて、共に考え、共にこの状況を変えていきましょう。
●日時:2018年1月21日(日)
●会場:市民交流プラザ 大会議室(郡山駅前ビッグアイ7階)
●プログラム
13:30 開会あいさつ
13:35~14:20 基調講演「原発震災と奪われた人権・行政の責任と役割」
今井 照さん( 公益財団法人 地方自治総合研究所主任研究員)
14:20~15:20 シンポジストからの発言
中里見 博さん(大阪電気通信大学工学部人間科学研究センター教授)
崎山 比早子さん(特定非営利活動法人 3・11甲状腺がん子ども基金代表理事)
千葉 由美さん(いわきの初期被曝を追及するママの会代表)
15:20~15:30 休憩
15:30~16:30 ディスカッション
コーディネーター 佐藤和良(ひだんれん幹事・いわき市議会議員)
16:30~16:50 ひだんれんの紹介、閉会あいさつ
●連絡先:Tel 080-2805-9004 /メール hidanren@gmail.com
ブログ:http://hidanren.blogspot.jp/
2017年12月14日木曜日
2017年12月11日月曜日
第6回福島原発告訴団総会終了
2017年12月10日、ビッグアイにて「第6回福島原発告訴団総会」が行われました。
今年はやっと初公判が開かれ、来年には1月と2月に3回の公判が予定されています。ようやく動き始めた裁判に、断固として『厳正な判決を求める』世論を、大いに高めていかねばならないという思いを共有しました。
この日、署名用紙が初披露。サイトからもダウンロードできるようになりました。ぜひ、たくさんの署名をお願いいたします。公判の度、裁判の判決が出るまで署名を提出し続けます。
第2部は、サイエンスライターの添田孝史さんから「東電を助けた『国策』手抜き捜査」の講演。安全よりも経営を優先した東電は、2010年当時、福島原発3号機で開始されようとしていたプルサーマルの運転承認を優先するあまり、津波評価や対策事業をすべて後まわしにしていました。そのことを福島県も承知していた節があります。そして事故後も東電は重要な報告書の存在を隠し、責任逃れをしていました。政府事故調や検察も、東電の責任逃れを助けていたと思われます。その事実が少しずつ解明されています。これからも、情報開示や内部告発等で東電の真実が表に出てくることを期待しています。
■講演の模様はこちら
■講演資料
■添田孝史さんの新刊のご案内
東電原発裁判――福島原発事故の責任を問う (岩波新書)
内容紹介
2017年春、司法が大きな一歩を踏み出した。福島原発事故における東京電力の刑事責任を問う初公判が開かれたのである。検察が持つ膨大な証拠やデータで明かされる事実とは何か。津波の予見は不可能とする被告の主張は真実なのか。各地で継続中の民事訴訟とともに、未曽有の事故をめぐる一連の裁判をレポートする。
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