2018年7月27日 第23回公判期日報告
証人 安保秀範氏
作成:佐藤真弥
監修:海渡雄一
弁護人8人 指定弁護士5人 被害者代理人3人
内容
・主尋問
開廷9:56
裁判長:お名前を言ってください。
安保:安保秀範(あぼ・ひでのり)です。
証人宣誓
主尋問
久保内:指定弁護士の久保内から。
証人の現在の勤務先は?
証人の現在の勤務先は?
安保:東電設計です。
久保内:一番長く勤めたのは?
安保:東京電力です。
久保内:日本原電に出向したことがあるか?
安保:平成19(2007)年10月から平成21(2009)年3月末まで。
久保内:経歴書を示します。間違いはありませんか?
安保:ありません。
久保内:経歴書には土木工学専攻とある。どういった専門か?
安保:大学と院で応用工学を専攻した。
久保内:昭和60年4月に東電に入社か?
安保:はい。
久保内:平成28(2016)年7月から東電設計に勤めている?
安保:はい。
久保内:それまでは東電に勤めていたと?
安保:はい。
久保内:東電在職中はどのような仕事をしていた?
安保:最初の10年は火力・水力(発電所)の建設、その後10年は技術部総合技術センターで電源計画、水力の保守などを。至近の10年は、日本原電、NUMOにも出向した。
久保内:ニューモ、NUMOは、経歴書のどこに書いてあるか?
安保:平成25(2013)年7月から出向と。
久保内:原子力発電環境整備機構をNUMOと略称したと?
安保:はい。
久保内:原子力発電所に関係する業務を初めて行ったのはいつか?
安保:直接関わったのは、平成19年11月から。
久保内:日本原電に出向していたときか?
安保:はい。
久保内:津波に関する業務は?
安保:そのときから。
久保内:日本原電にいたときか?
安保:はい。
久保内:日本原電について聞く。どんな会社か?
安保:9電力と電源開発が株主で、原発の運転・運営と電力の供給をする。
久保内:このことか?
安保:はい。
久保内:9電力などが株主というのは、こういうことか?
安保:はい。
久保内:東電の出資比率は28.23%。東電が筆頭株主という認識でよいか?
安保:はい。
久保内:証人は、出向中はどういう立場だったか?
安保:開発計画室の土木開発グループマネジャー(GM)。
久保内:開発計画室では何を担当していたか?
安保:その当時、敦賀3・4号機の増設を推進していた。東海、敦賀に関する土木・建築関係や廃棄物関係も担当した。
久保内:開発計画室以外にはどんな部署がある?
安保:発電管理室。一般的な部。
【指3 日本原電組織図】
久保内:この開発計画室に所属していた?
安保:はい。
久保内:発電管理室もありますね?
安保:はい。
【指4-4 技術検討書 2008.12.2】
久保内:発電管理室は何を担当していた?
安保:既設発電所の管理。
久保内:設備管理グループ(G)とはどういうグループか?
安保:設備管理を担当するグループ。
久保内:プラント管理Gは?
安保:プラントを管理するグループ。
久保内:証人は土木計画GMを担当したことがあるか?
安保:はい。
久保内:何をした?
安保:東海第二のバックチェック(BC)が主。廃棄物処分の業務もした。
久保内:土木設計Gでは何を担当した?
安保:主に敦賀のBCを担当したのと、増設計画を担当した。
久保内:土木建築統括Gでは?
安保:統括的な……。
久保内:土木設計Gでは、東海第二のBCを主にやっていたか?
安保:はい。
久保内:東海第二について、どこにあるか?
安保:茨城県東海村。
久保内:どういう設備がある?
安保:(東海第二)発電所。廃炉した東海第一発電所もある。
久保内:原子炉はいくつか?
安保:ひとつ。
久保内:建屋は敷地の何mの高さにある?
安保:資料がないと答えられない。
【指4 東海第二 整地レベル】
久保内:これを見て説明できるか?
安保:はい。
久保内:青いところは何か?
安保:港湾施設のある、少し低いところ。
久保内:海水ポンプ室はここにあるか?
安保:はい。
久保内:H.P.+4m、T.P.+3.11m、これは敷地の高さか?
安保:そうだと思う。
久保内:右下、H.P.±0、T.P.±0、H.P.は日立港工事用基準面とある?
安保:はい。
久保内:T.P.(東京湾平均海面)、H.P.は両方使うのか。
安保:はい。
久保内:真ん中の黄色い部分は?
安保:資料にあるように、H.P. + 8.89m、T.P.+8m。おしなべてだと思うが、こういうレベル。原子炉建屋、タービン建屋がある。
久保内:原子炉建屋があるところに、もうひとつ建屋があるが、これはすでに廃炉になった東海発電所か?
安保:はい。
久保内:オレンジは何か?
安保:この図では、屋外開閉所。
久保内:敷地レベルが高いところか?
安保:はい。
久保内:東海第二のBCは土木計画Gが担当すると言ったが、BCについてどう理解しているか?
安保:BCについては、新しい知見に基づいて耐震性評価を行う。
久保内:審査の過程で、結果によっては運転停止になるリスクがある、という認識はあったか?
安保:どれくらいリスクがあるか、当時どうだったかは正確には言えない。そういうリスクもあると思っていたのではないか。
久保内:出向したころ、茨城県の津波浸水想定区域が公表されたか?
安保:はい。
久保内:東海第二にはどんな影響があった?
安保:当時の(日本原電の)評価より高いレベルの浸水評価が出たと思う。
久保内:具体的にどういう施設に影響が出たか?
安保:海水ポンプの浸水の高さが、想定より高い津波高さになる。
【指5 津波浸水想定】
久保内:東海原発はあるか?
安保:はい。
久保内:どこか?
安保:(図の)上から三分の一くらいのところに港が見える。
久保内:真ん中やや上のところか?
安保:はい。
久保内:この青い線のここか?
安保:はい。
久保内:下の凡例を見ると、黄のところは2~4mだと。この黄は、どこにどのくらい浸水する想定か?
安保:図の通り。黄色は2~4mと想定している。
久保内:2~4mは、H.P. + 8.89mのところ。建屋敷地レベルには津波は来ないか?
安保:はい。そこには来ない想定になっている。
久保内:茨城県の想定について、東電と意見交換をしたことがあるか?
安保:あります。
久保内:意見交換の記憶はあるか?
安保:詳細は資料を見ないと分からない。
【指6 東電との意見交換メモ 2007.10.23(メモ作成日は24日)】
久保内:出席者に北川GM、安保GMとある。北川GMとはどんな人か?
安保:BCでは敦賀の担当だった。(他の出席者の)坂上主任は東海第二の担当、増田は敦賀、入谷も敦賀。
久保内:東海第二のほか、福島第一、福島第二にも影響があるから、そういう目的の打ち合わせだったのか?
安保:はい。
久保内:メモに、「茨城県モデルは福島でもクリティカル(東電)」と。東電から意向が示されたのか?
安保:はい。
久保内:「新たな見解と見なすと、これを基準モデルとしてパラスタする」「パラスタしないロジックの構築が必要(東電)」とあるが?
安保:茨城県の波源モデルを用いるとパラスタ(パラメータ・スタディ)できないモデルだから、痕跡高を基に同等の波源モデルを作って、土木学会のモデルでパラスタをする。そのモデルの検討をしようと。
久保内:茨城県の津波評価を把握して検討が進んだら意見交換をする、とあるが、このときは、まだ検討は進んでいなかった?
安保:多分そう。
久保内:11月の19日の(会議の)内容はどういうものか?
安保:資料を見ないと答えられない。
【指7 情報連絡会 議事(メモ) 2007.11.19 東電との打合せ記録】
久保内:「県の設定でシミュレーション」とある。茨城県のデータをもらい、シミュレーションが出ていたのか?
安保:これは、県からもらったというか、県の波源がどういうものか確認し、解析をしたと。
久保内:「今回のBCは大々的な耐震性評価となる」「推本をなぜ考慮しないかという議論になる」「これまでは確率論でと」「非常に悩ましい」とある。この「推本」とは何か?
安保:地震調査研究推進本部の長期評価だと思う。
久保内:平成14年公表の、「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」のことか?
安保:はい。
久保内:推本をBCに取り込むかの話題が出たのか?
安保:はい。
久保内:以前から、推本の長期評価の取入れを考えていたか?
安保:津波の評価は検討をし始めたところで、検討はまだだった。
久保内:東電との打ち合わせがきっかけで検討したと?
安保:こういう認識だということを踏まえて、今後検討すると。
久保内:「推本の扱いについて、東電内で議論をして早めに方向性を」、日本原電としては東電の結論を待つということか?
安保:この時はそう。
久保内:平成19年12月4日、日本原電社内の打ち合わせの記憶はあるか?
安保:資料を見ないと…。
【指8 東海第二耐震タスク 2007.12.4】
久保内:耐震タスクとは?
安保:日本原電内で、耐震の情報共有をしようということで人を集めた。
久保内:どういった人たちか?
安保:記憶では、発電管理室、開発計画室の関係メンバーが参加したと思う。
久保内:手書きの文字は証人によるものか?
安保:私ではない。
久保内:資料作成には関わったか?
安保:はい。
【指8-2 バックチェック報告書及び対策検討での取扱い】
久保内:内容の説明を。
安保:BC対策の案を羅列して表記した。4つの案があり、
第1の案は、従来の土木学会手法のみ。「現実には考えられない」などと書いてある。
第2は、従来の土木学会手法+茨城県津波解析の対策。
第3は、従来の土木学会手法+茨城県津波に痕跡高に基づく評価をした土木学会手法を用いる。
第4は、従来の土木学会手法+推本を確定論で反映して土木学会手法を用いる。
第1の案は、従来の土木学会手法のみ。「現実には考えられない」などと書いてある。
第2は、従来の土木学会手法+茨城県津波解析の対策。
第3は、従来の土木学会手法+茨城県津波に痕跡高に基づく評価をした土木学会手法を用いる。
第4は、従来の土木学会手法+推本を確定論で反映して土木学会手法を用いる。
久保内:BC報告と対策は必ずしもイコールではない?
安保:はい。
久保内:なぜ?
安保:BCは最新の知見を取り込まないと審査は通らない。対策については、さらにリスクを踏まえてどこまで現実的にするか。必ずしも一致しない。
久保内:報告より対策の方が安全寄りということか?
安保:より安全寄りの対策をとるということもある。
久保内:一番厳しいのは推本か?
安保:一番厳しい推本を無視できない。一番厳しいのはどこまで影響するのかと。
久保内:地震本部(推本)の長期評価は、BCでどう取り扱うか、東電の高尾さんと電話したことがあるか?
安保:ある。
久保内:なぜ?
安保:高尾さんは津波評価の知見がある。
久保内:説明の内容を覚えているか?
安保:資料がないと…。
【指9 推本に対する東電のスタンスについて(メモ)「高尾課長からのヒヤ」 2007.12.10】
「今回のバックチェックにいれないと後で不作為であったと批判される」
久保内:高尾さんからどういう説明だったか?
安保:推本は確率論で取り扱おうとしていたが、確定論で取り扱わざるを得ない、BCに推本を取り入れないと批判される、と。
久保内:高尾さんの影響はあったか?
安保:推本をBCの中で取り込む可能性が高くなったのではと思う。
久保内:その後、平成19年内に社内で打ち合わせがあったか?
安保:資料を見ないと…。
【指10 東海第二 津波影響評価について 2007.12.11】
久保内:手書きで「坂上」とある。12月11日に配られた資料か?
安保:はい。
久保内:資料作成者は誰か?
安保:たぶん私。
久保内:「これまでの経緯」として、下の矢印に東電との情報連絡会で、「福島地点は延宝房総沖の影響はなさそう」、とある?
安保:はい。
久保内:長期評価を取り込む可能性が出てきたか?
安保:はい。
久保内:三陸沖から房総沖の取り扱いとして、「三陸沖から房総沖はこれまで確率論(地震動では推本を考慮)」とある。「地震動では推本を考慮」とは?
安保:(地震動の)所管は建築(グループ)なので、どういう設定なのか記憶は無いが、推本を考慮して評価している。推本を取り入れていると。
久保内:「スケジュール案」のところに、新知見の痕跡高を反映して土木学会手法で推本の三陸沖から房総沖を評価すると、概略パラスタするより痕跡高を取り入れる方が厳しいかどうか確認、とある。スケジュールは図の下のこれか?
安保:だったと思う。
久保内:地震本部の取り扱いについて、東電のほかの会社は情報交換していたか?
安保:していた。
久保内:どの会社と?
安保:東京電力、東北電力、JAEA、日本原電。
久保内:四社情報連絡会というのか?
安保:…とも言っていた。
【指11 関係各社打合せ 議事録 2007.12.11 (四社情報連絡会)】
出席 金戸(東電)、松山(電中研)、安中(東電設計)、安保、坂上(原電)、JAEA
出席 金戸(東電)、松山(電中研)、安中(東電設計)、安保、坂上(原電)、JAEA
久保内:内容は、BCの津波対策で、地震本部の三陸沖から房総沖をどう扱うかということか?
安保:はい。
久保内:日本原電はどう考えていた?
安保:資料を見ないと分かりません!
久保内:簡単に言うとどういうことか?
安保:推本の議論は、BCで扱わざるを得ないと。ただし、福島沖、茨城沖の空白地帯については課題だと。建築(グループの対応)と整合するように、情報共有をする。推本を取り込むにあたっては、念のために取り込むのだと。
【指11-2 関係各社打合せ 議事録 2007.12.11 (四社情報連絡会)】
今後下記の件 「推本を取り込まざるを得ない」
「断層モデルの設定で、何社かが救われるのであれば」
今後下記の件 「推本を取り込まざるを得ない」
「断層モデルの設定で、何社かが救われるのであれば」
久保内:BCの方針は固まっていたか?
安保:方針とか、決定はしていない。情報を共有して、取り込まざるを得ない方向だ、と。
久保内:長期評価を取り込む検討はしていたか?
安保:検討はしていた。
久保内:東電設計に対して委託をしたか?
安保:はい。
久保内:どのような津波に対して?
安保:シミュレーション解析はすべて東電設計に委託している。茨城県モデルも推本に基づいたものも両方委託した。
【指13 地震本部津波 三陸沖から房総沖】
久保内:資料に見覚えは?
安保:今見たら、あったなぁと思い出した。
久保内:説明を。
安保:長期評価に基づく津波評価の検討の資料である。1枚目は、評価をどのモデルで行うか。2枚目は、結果の抜粋。
久保内:東電設計に委託した結果か?
安保:はい。
久保内:(1)津波波源モデル、(2)概略パラスタ、とは?
安保:パラスタのパラメータ。
久保内:表3は結果か?
安保:はい。
久保内:2枚目の表6、7は、詳細パラスタの結果か?
安保:はい。
久保内:表6、津波最高水位は?
安保:南側水位12.24m。
久保内:表7、朔望平均満潮位で港外南側11.94m。詳細パラスタのほうが高くなる?
安保:そう。
久保内:遡上計算結果の図から何がわかるか?
安保:色を変えて浸水高さを示している。赤は4.5から5以上の浸水高さがある。発電所付近にもそれなりの浸水が及ぶ可能性があることがわかる。
久保内:単位はメートルか?
安保:と思う。
久保内:最高水位は先ほどの港外南側H.P.+12.24mか?
安保:はい。
久保内:この図はどこの図か?
安保:海水ポンプ室。
久保内:H.P.+9.54はどういう水位か?
安保:地点での最高水位。推本(を取り入れた場合)の。
久保内:H.P.+7.49は?
安保:海水ポンプを囲んでいる壁の前面の高さ。
久保内:海水ポンプ室の壁は、前面と横の面の高さが違う?
安保:壁の上のクレーンの構造が特殊。側壁はそこまで高くない。
久保内:前面は7.4m、側壁は5.8mと?
安保:はい。
久保内:右の図の、最低水位はH.P.-4.22。どういう水位か?
安保:推本を考慮した、一番、津波(の引き波)で低くなる水位。
久保内:-4.22mは、海水ポンプにどういう影響があるか?
安保:この図で、吸い込みレベルは-3.02m。最低レベルになると(海水が)吸えなくなる。
久保内:吸えないとどうなるか?
安保:機器的なことは知らない。吸い込みできなくなると海水ポンプが損傷したり、必要量が吸えなくなると思う。
久保内:貯留用の海水が吸えないということか?
安保:はい。
【指13-3 東海第二 津波影響評価結果】
久保内:このグラフは誰が作った?
安保:私。
久保内:黒色は何?
安保:黒は現状(2002土木学会手法)。
久保内:グレーは?
安保:茨城県モデル。
久保内:緑は?
安保:茨城県の痕跡高を新知見として土木学会手法に当てはめるべく考慮したもの。
久保内:赤は?
安保:推本を考慮したもの。
久保内:(棒グラフの)山が3つある。左の山は?
安保:概略検討結果。
久保内:「P上」とはポンプ室の上という意味か?
安保:はい。
久保内:真ん中の下側の山はどこを示している?
安保:同じポンプ室だが、引き波を示している。
久保内:右の山は?
安保:発電所の地盤レベル。港南側の高さ。
久保内:ポンプ室の押し波の方、グラフの黒は前面壁、側壁の高さか?
安保:はい。
久保内:黄色は茨城県津波の解析による高さか?
安保:正確には、それを基に評価したもの。
久保内:側壁(高さのグラフ上端)から点線が延びている。これを上回ると浸水するということか?
安保:はい。
久保内:浸水高さは、茨城県モデル、茨城県モデルにパラスタしたモデル、推本モデルは、いずれも側壁高さを超えるか?
安保:はい。
久保内:引き波は、緑(茨城にパラスタ)と赤(推本)は、取水確保レベルのグレーを下回り、NGと?
安保:はい。
久保内:右の山、発電所地盤レベルを見ると、緑と赤は地盤を上回る?
安保:はい。
久保内:話は変わります。
高尾さんから、今村教授の面会について報告を受けたことはあるか?
高尾さんから、今村教授の面会について報告を受けたことはあるか?
安保:受けたと思う。
久保内:どんなコメントか?
安保:資料を見ないと、思い出せません。
【指16 東北大 今村教授ご相談議事録 (2008.2.26)】
久保内:これを見たか?
安保:見たと思います。
久保内:今村教授の「ご意見」として、「福島沖海溝沿いで大地震が発生することは否定できない」「波源として考慮すべき」とある。これをどう評価した?
安保:BCに取り入れる可能性が大きくなったと思う。記憶があまりない。
【指15 安保発メール 金戸宛て】
「考慮すべきとダメ押しされたという内容ですね」
「考慮すべきとダメ押しされたという内容ですね」
久保内:証人の、今村コメントを受けての返信か?
安保:たぶん、先ほどの議事メモを見て、BCに考慮すべきとダメ押しされたと認識したのだと思う。
久保内:平成20年3月5日の四社情報連絡会は覚えているか?
安保:資料を見ないと…。
【指17 津波バックチェック打ち合わせ 議事記録 2008.3.19】
久保内:東北電力作成の議事録。この会議のことを説明できるか?
安保:見ればある程度は。
久保内:2枚目の、「(3)日本原子力発電」のコメントについて説明を。
安保:このとき、茨城県の浸水想定が公表になって、東海第二で想定していたより大きく、対策が必要になった。「プレス発表をする予定」というのがそれ。(推本の)1896(明治三陸地震)を東側前面、海溝沿いには設定しない方向で今村教授に相談しようということになった。
久保内:プレス発表はしたか?
安保:やっていない。
久保内:今村教授に相談に行ったか?
安保:たぶん行っていない。
久保内:日本原電の常務会で報告したことはあるか?
安保:はい。
久保内:証人は常務会には出席するのか?
安保:陪席することはあった。
【指18 常務会報告書 2008.3.10】
「既設3プラントの耐震裕度向上工事の検討実施状況について」
「既設3プラントの耐震裕度向上工事の検討実施状況について」
久保内:2枚目、パワーポイント、既設プラントについて。証人が資料を作ったのか?
安保:一部はそう。
久保内:3枚目、東海第二の津波安全性評価。茨城県と推本についてか?
安保:はい。知見を反映した場合の。
久保内:茨城県の評価を反映するのはなぜか?
安保:防災目的として茨城県が津波浸水想定を公表した。津波高さも推測できる。公表されたものについてはBCに取り込んで安全性評価をすることとした。
久保内:下の図は、赤が茨城県モデル。青が従来の(土木学会手法の)モデル。それに96Km延長のモデル。どの波源を使ったのか?
安保:どの波源を使うかは、この時は言っていない。ここでは、茨城県の波源は赤で、従来の土木学会手法に加えて、赤と同等になるようにするには96Km延長すればなると。
久保内:右側に、「推本の反映」「バックチェックにおいて求められる可能性高い」とある。当時、日本原電はそう思っていた?
安保:当時はそうだと思う。
久保内:4枚目は浸水範囲か?
安保:はい。
久保内:どの程度浸水する?
安保:茨城県モデルは左。これに基づくと、建屋レベルまでいくが、あまり浸水しない。敷地南でも30cm。推本モデルは、県よりも影響する。建屋付近で30cm浸水する。
久保内:対策例として、津波用防波壁、建屋水密性、このような対策が検討されていた?
安保:はい。
久保内:5枚目、何が記載されている?
安保:ポンプ室の位置での影響と対策例。
久保内:最高水位があり、赤い字が対策案か?
安保:対策例です。
久保内:どういうものか?
安保:押し波には、嵩上げによる案と、水密性確保の案。嵩上げは点線の部分。推本を考慮した場合、H.P.9.54より少し上になる。非現実的対策なので点線になっている。
久保内:H.P.7.88は茨城県津波に対応する水位か?
安保:はい。
久保内:右の最低水位に対する対策例は?
安保:対策は、吸い込み管の延長。それでも足りない場合は堰の設置が考えられる。あとは、津波が発生したらポンプを止める。
久保内:吸い込みレベルH.P.-4.22は推本に対応か?
安保:はい。
久保内:H.P.-3.53は茨城県に対応か?
安保:はい。
【指19 2008.5 東海第二 津波影響】
ポンプ 5.75m
ポンプ 5.75m
久保内:証人がこの資料を書いたか?
安保:はい。
久保内:前の資料をまとめたのか?
安保:たぶんそう。
久保内:「3. 検討の進め方」とある。この工程でよいか?
安保:はい。
久保内:これを見ると、平成20年7月から対策工事スタートとあるが?
安保:当時はそう。
久保内:東電設計に防潮壁の委託をしたか?
安保:はい。
久保内:どういった検討結果か?
安保:資料を見ないとわからない。
【指20 2008.5.9 TEPSCO】
久保内:TEPSCOとは東電設計のことか?
安保:はい。
久保内:簡単に説明を。
安保:この資料は、防潮壁を仮定してどのくらい遡上するか試算したもの。敷地南側から波が一番高くやって来るので、南側に防潮壁を高さ1m、2m、3mと設置した場合、建屋付近にどれくらいの高さまで来るかを試算した。
久保内:断層モデルはどれ?
安保:推本だと思う。
久保内:図1、建屋。青い線の防潮壁①とはどのようなものか?
安保:この付近にどのくらいの高さの津波が来るか、無限の壁を仮に立てたとして計算している。
久保内:防潮壁②はどこまで設定した?
安保:道路がある辺りまで。
久保内:この図では、防波堤まで青線があるが、その前までということか?
安保:はい。
久保内:2枚目、「主要施設周りの防潮壁前面の浸水深」、このグラフは?
安保:発電所の前に壁を立てた。壁が無いと、最大0.85m浸水。1mの南側防潮壁を立てると37cmに低減する。2mの壁と3mの壁は20cm程度。
久保内:なにも立てなければ85cm浸水すると?
安保:はい。
久保内:高さ2mの壁だと20cmの浸水だと?
安保:この条件の解析だとそうなる。
久保内:図1の4のケース3は、3mの壁を設定して浸水深を表現した図か?
安保:はい。
久保内:これを踏まえて、日本原電ではどのような対策を検討した?
安保:その後検討したというか、その前に、南側に盛土対策を考えているから、試算によって効果があるなら対策しよう、と。
久保内:盛土とは?
安保:その当時、耐震対策で地盤改良工事をしていた。その工事によって排泥、泥が出てくる。通常は産廃になるが、その泥を利用できる、対策のための盛土に利用できるのではと考えた。
久保内:防潮壁の代わりに排土、泥を使えないかということか?
安保:防潮壁の代わりになるか効果を確認した。
【指21 防潮築堤 2008.5】
久保内:これは盛土の資料か?
安保:はい。
久保内:平面図。どこの場所か?
安保:南側と、右端が取水ポンプ室。
久保内:敷地の南側か?
安保:はい。
久保内:茶色い線は何か?
安保:盛土をするのに道路を設置したのだと思う。
久保内:3つに分かれている?
安保:一番左が+8.0m。
久保内:こげ茶色が盛土か?
安保:はい。
久保内:グレーの線は?
安保:先ほどのは、グレーが道路だった。訂正する。
久保内:+8.0mの周りの緑は?
安保:低くなっていた所。そこも盛土をした。
久保内:盛土の高さは?
安保:さっきの影響評価から、2m、3m程度で20cmくらいまで低減する可能性があり、それなりに効果があると考えた。
久保内:完全に浸水を防ぐ目的か?
安保:いいえ、推本の最大の波が来たら防げると思っていなかった。
久保内:建屋への浸水の評価を行ったか?
安保:はい。
【指22 建屋侵入量の評価結果について】
久保内:東海第二の建屋侵入量の評価か?
安保:はい。
久保内:どの津波を推定した?
安保:推本を考慮した最大の津波。
久保内:「地震本部津波」とある、これか?
安保:はい。
久保内:グラフと図から何が読み取れるか?
安保:この資料はタッチしていない。正確には……。開口部に最大津波が来たら、を時刻歴で浸水量を評価している。
久保内:①、②の赤い矢印は、ここからの浸水を示している?
安保:だと思う。
久保内:対策を考えたか?
安保:浸水しないように対策を、ということの資料だと思う。
【指23 「対策の方針について」 2008.6.11】
久保内:耐震タスクで配布された資料か?
安保:だと思う。
久保内:「基本方針」に、「影響ある全ての外壁にて止水」とある。原子炉建屋、タービン建屋など、ここにある全ての建屋に対して対策をすると?
安保:はい。
久保内:②、扉、シャッターに、赤字で「要」とある。これら全てに対策が検討されていたのか?
安保:はい。
久保内:平成20年7月23日の四社情報連絡会は覚えているか?
安保:資料を見れば。
【指24 四社情報連絡会 議事録 2008.7.23】
久保内:証人が作成したか?
安保:多分そうだ。
久保内:津波の検討、有識者へのヒアリングの情報を共有するためか?
安保:はい。
久保内:下の方で、日本原電は何を言っている?
安保:1677(年の津波(延宝房総沖)についての対策)については実施済み。地盤改良や、押し波対策は、防潮堤、防水扉などの対策、引き波対策は、ポンプ対策として吸い込み管延長など。
久保内:これまでの対策を説明したものか?
安保:はい。
久保内:平成20年7月31日に、酒井さんからメールがあったか?
安保:あったと思う。
久保内:どんなメールだったか?
安保:見ないと分からない。
久保内:概要は?
安保:BCにあたって、土木学会青本(2002津波評価技術)を改訂することとし、推本津波は土木学会で審議してもらうということだと思う。
【指25 酒井発メール 安保・東北電力松本宛 2008.7.31】
(酒井)「有識者の理解を得る(決して、今後なんら対応しないわけではなく、計画的に検討を進めるが、いくらなんでも、現実問題での推本即採用は時期尚早ではないか、というニュアンス)。以上は、経営層を交えた現時点での一定の当社結論となります。」
(酒井)「有識者の理解を得る(決して、今後なんら対応しないわけではなく、計画的に検討を進めるが、いくらなんでも、現実問題での推本即採用は時期尚早ではないか、というニュアンス)。以上は、経営層を交えた現時点での一定の当社結論となります。」
久保内:「経営層」とは?
安保:当時どう考えていたかは…いま推測すると、役員等を交えた議論と推定したと思う。
久保内:地震本部の長期評価をBCに取り込まないと書いてあるが、元々は取り込むということだったのか?
安保:取り込む可能性があるということ。
久保内:酒井メールで、東電の方針変更があったと認識したか?
安保:方針だったというか、そういう(推本を取り入れる)方向で進むのだろうなと思っていた。
久保内:「そういう方向で進むのだろうな」と思ったのはなぜ?
安保:今までの高尾さんとのやり取りや、今村先生のヒアを踏まえてだと思う。
久保内:「そういう方向」に行かなかったのはなぜだと思った?
安保:その当時、推本をどう取り入れるかキチッとできていない状況と認識していた。土木学会を通じて青本の改訂をするので、ある一定の基準を有識者の議論を踏まえて作って、推本に反映するんだろうなと。
久保内:日本原電の方針は地震本部を踏まえてかなり進んでいたが、東電の酒井さんのメールは、その後の方針に影響したか?
安保:「当面の」なので、推本を取り入れなくていいとなった訳ではないので、その後の検討・対策は、引き続き検討を進めていく方針に変更は無かったと思う。
久保内:平成20年8月5日、常務会があったが、証人は報告をしたか?
安保:報告したと思う。
【指26 常務会報告書 2008.8.5】
久保内:3枚目は、3月の常務会に配布したものと同じか?
安保:はい。
久保内:4枚目もほぼ同じか?
安保:ほぼ同じ。
久保内:盛土の資料は、この常務会では初めて出したか?
安保:そうです。
久保内:先ほどの資料は、常務会用に作成したのか?
安保:はい。具体的になったので示した。
久保内:「東海第二建屋津波対策」とは?
安保:土木計画Gの資料ではない。扉等の水密化など、建屋サイドの対策。
久保内:この報告で、常務会から、異論・反対はあったか?
安保:特に無かった。
久保内:日本原電としてこのように進める方向だと?
安保:異論がなかったということだ。
【指26-2 常務会報告書 2008.8.5】
久保内:2枚目、「工事スケジュール」。平成22年に完了となるスケジュールか?
安保:そう思う。
久保内:平成22年に入ったところで完了と?
安保:その当時はそうだと思う。
久保内:平成20年に始まり、BC最終報告をし、平成22年に完了ということか?
安保:そうだったと思う。
久保内:平成20年8月の初め、四社が情報交換をしたか?
安保:資料を見ないと…。
【指27 日本海溝沿い津波に関する打合せメモ 2008.8.6 (四社情報連絡会)】
出席 安中(原電)、酒井、高尾、金戸、堀内(東電)、
出席 安中(原電)、酒井、高尾、金戸、堀内(東電)、
久保内:これは?
安保:東電作成の議事録。
久保内:証人も出席している?
安保:はい。
久保内:日本海溝沿い津波の取り扱いについて、東電から、「どこでも起きるという推本の見解を否定するのは不可能」「電共研でプラクティスとして検討」「当面は土木学会で」こういう説明があった?
安保:そういうことだと思う。
久保内:その下、「原電は」のところの説明は何と?
安保:「一枚モデルを別途作成」とあるので、県(茨城県モデル)そのものではなく、パラスタできるモデルを作ってやれば、推本の見解にも対応したことにつながる可能性があると。
久保内:「推本の見解にも対応したことにつながる可能性がある」とはどういうことか?
安保:推測すると、推本の、どこでも大規模津波が発生するということについて、(日本海溝沿い領域を)南と北で分けられるという知見が議論されていた。(分けることが)可能だと評価できると。
分けられるならば、県モデルにパラスタをするのと同じようになるので、県モデルの津波のパラスタをやることで、推本を分けて評価するのと同じになるから、推本の見解に対応したことになる可能性があると。
分けられるならば、県モデルにパラスタをするのと同じようになるので、県モデルの津波のパラスタをやることで、推本を分けて評価するのと同じになるから、推本の見解に対応したことになる可能性があると。
久保内:東電の進め方について、日本原電内で確認したか?
安保:はい。
久保内:どういう結果になった?
安保:東電の進め方でいく、となった。
久保内:「東電の進め方」とは?
安保:当面のBCは土木学会手法で進めると。
【指29 「津波評価と対策方針(案)について」 2008.8.12 (原電社内資料)】
ポンプ 平成22年度完了予定
②ポンプ 推本津波、高さH.P.+10mとなり大規模対策必要
ポンプ 平成22年度完了予定
②ポンプ 推本津波、高さH.P.+10mとなり大規模対策必要
久保内:証人が作成したか?
安保:はい。
久保内:「今後の方針(案)」の説明を。
安保:津波対策工、推本を考慮した対策工を引き続き検討する。BC報告は推本津波を考慮しないが、県津波を考慮した対策で報告する。BC報告の提出の際は(県津波を考慮した対策の)対策工を終えているのが望ましいと。
久保内:東京電力の方針で推本を取り入れないことについて、日本原電内で異論は出なかったか?
安保:異論と言うか、最初は取り入れる方向だった。土木学会で検討するという方針に対し、方向性が変わったんじゃないかということを議論したが、日本原電としてこう行こう、となったと思う。
久保内:証人は、東京地検で供述調書を取った時、社内の反応について問われなかったか?
安保:問われたかもしれないが、忘れた。
久保内:「市村開発計画室長から『こんな先延ばししていいのか』『何でこういう判断になるんだ』と言われた」、と答えたのでは?
安保:言われてみればそういうふうに言ったと感じます。
11:53休廷
13:11再開
裁判長:では引き続き検察官側から。
久保内:指定弁護士の久保内から。
東海第二では、引き波の検討も行われていたのか?
東海第二では、引き波の検討も行われていたのか?
安保:はい。
久保内:実際に工事は行われたか?
安保:と思う。
【指35-1 「完了証明書」】
決裁書 起案2008.10.27 2008.11.10
835,000,000円
決裁書 起案2008.10.27 2008.11.10
835,000,000円
久保内:いわゆる引き波の工事の予算か?
安保:だと思う。
【指35-2 「津波対策概要」】
久保内:2枚目を示す。添付書より。記憶はあるか?
安保:土木計画Gのものではないが、見た記憶はある。
久保内:「津波条件」に、「H.P.3.53茨城県津波」「H.P.4.22推本津波」とある。この2つの対策を取ったのか?
安保:と思う。
【指36-1 決裁書 2008.12.4 2008.12.22】
東海第二機電設備 ポンプ
東海第二機電設備 ポンプ
久保内:引き波工事の決裁書か?
安保:はい。
【指36-2 決裁書 2008.12.4 2008.12.22】
実施理由 「H19.10.16 県公表浸水想定」「地震本部の評価を考慮」「ポンプを延長する」
実施理由 「H19.10.16 県公表浸水想定」「地震本部の評価を考慮」「ポンプを延長する」
久保内:地震本部の長期評価を考慮したものか?
安保:推本「も」、考慮したものです。
久保内:いつ完了した?
安保:記憶にございません。
久保内:竣工届によると、2010年4月5日か?
安保:4月5日時点では(出向から戻ったため)居ないので。
久保内:竣工届に「機電設備対策工事」とある。実際に建屋対策工事をしたと?
安保:じゃないかと思う。
【指37 建屋津波対策工事について 2008.11.12】
久保内:証人は関与したか?
安保:いいえ。土木計画Gの担当ではないので。
久保内:内容は知っているか?
安保:共有はしている。
久保内:「対策内容」として、「シャッター等」、計9か所。こういう対策の認識はしていたか?
安保:していたと思う。
久保内:平成20年12月から平成21年9月までの工期でのスケジュール予定か?
安保:だと思う。
久保内:「推本考慮」の書き文字があるが?
安保:私ではない。考慮したから誰かが書いたのか?
【指38-2 「東海第二津波工事概念図1/2」】
久保内:何を示した?
安保:津波評価を土木計画Gで評価し、開口部でどのくらいの津波高さが来るか。それに対し、それより高く、あるいは止水するよう、どう対策するかの概念。
久保内:サービス建屋の赤い印は、対策場所か?
安保:はい。
久保内:これは浸水対策の一つか?
安保:はい。
久保内:サービス建屋の最大津波高さが、EL8.27、EL8.29と、場所によって違う。これは計算をしたものか?
安保:はい。
【38-3 「東海第二津波工事概念図2/2」】
久保内:どういうものか?
安保:これも同じ。対象建屋が違う。
久保内:浸水対策についてか?
安保:はい。
久保内:左側の赤い丸は、止水仕様のシャッターの写真に対応するのか?
安保:はい。
久保内:これはスロープ付き土手の写真か?
安保:はい。
【指44 「技術検討書」】
工事内容 防水扉 防潮シャッター
工事内容 防水扉 防潮シャッター
久保内:土木計画GMの証人の押印はあるか?
安保:あると思う。
久保内:2枚目、対策内訳。合計9か所対策するということか?
安保:はい。
久保内:3枚目、「3. 津波(溢水)遡上解析」で地震本部津波計算とある。
【指44-6】
東海第二構内 地震本部津波計算
東海第二構内 地震本部津波計算
久保内:これは?
安保:土木計画Gで示した図。緑色の部分の周りは壁があるとして、推本津波が来た場合の最高の高さの数字が書いてある。そこの地点の津波の高さだ。
久保内:7枚目下の凡例を見ると、緑色が対象建屋。タービン建屋の周りは黒丸がある。対象範囲を囲んであるのか?
安保:もう一度下を見せて……どういう意味だったっけなぁ…?
久保内:違う数字がたくさんあるが?
安保:津波の最高の高さ。
久保内:それぞれの地点の津波の高さか?
安保:はい。
久保内:この図を基に建屋侵入量を評価した?
安保:はい。
久保内:技術検討書は決済されたか?
安保:多分されている。
【指45 決裁書 2008.11.20 2008.12.3】
東海第二及び敦賀津波対策
東海第二及び敦賀津波対策
久保内:建屋対策工事の実施についてか?
安保:はい。
久保内:工期を見ると、東海第二は2008年12月8日から2009年9月30日とある?
安保:はい。
久保内:着工の時は、まだ証人は日本原電にいる。工事は認識していたか?
安保:直接の担当ではないので。そうなのだなと思う。
久保内:説明欄に、東海第二の地震本部津波計算はあるか?
安保:一番高いのがそう。
久保内:工事が終わったのは?
安保:記憶にございません。
【指46 「完了証明書」 2009.9.30】
久保内:先ほどの工事が終了したのか?
安保:そうだと思う。
久保内:盛土工事は実施したか?
安保:したと思う。
【指39 「緊急実施伺書」 2008.11.10】
久保内:記憶はあるか?
安保:はい。直接担当した。
久保内:盛土工事の内容が含まれるか?
安保:盛土は追加したもので、タイトルの工事は地盤改良の工事。タイトルの工事で出た排泥を利用して盛土をする。この工事の土を有効利用する、と変更すると。
久保内:この工事で発生する泥だから、この工事に付属すると?
安保:当時は産廃の扱いだった。それを盛土にすると。
【指40-1 「竣工届」 2009.5.29】
久保内:盛土工事が完了したということか?
安保:はい。
久保内:2枚目、2から4ページは?
安保:排泥利用盛土写真と平面図、断面図。
久保内:2枚目には盛土完成写真がある?
安保:はい。
久保内:3枚目、日本原電にいた時の工事との違いはあるか?
安保:盛土の箇所は変わっていない。
久保内:断面図は、大きな違いはないか?
安保:はい。
久保内:盛土はどの津波に対する対策か?
安保:どの津波、ではなく、津波が来た時に対抗するもの。敷地に浸水しないように、2mくらいだから、そのくらい防げる。推本最大の津波が来た場合は越えて陸に来るが、盛土があると原子炉建屋周りを低減できる。
対策というより、津波に対して耐力を持たせる工事だと思う。
対策というより、津波に対して耐力を持たせる工事だと思う。
久保内:推本津波に対する対策も含まれていると?
安保:一定の効果がある。
久保内:日本原電内で、津波の評価に対し、ケース、場合分けをしていたか?
安保:はい。
【指43-2 東海第二津波評価と対策について】
久保内:表について説明を。
安保:検討ケースとして大きくは3つ。青本の津波、県の波源、推本の発生領域。2と3を2つに分け、5つのケースで。ケース0は青本の波源。1、2は県の波源。県の想定そのもの(ケース1)と、青本でパラスタして安全側、より津波が高い評価を入れて県の波源を考慮したものがケース2。ケース3、4は、「どこでも津波が起きる」は取り入れるが、3は南北を分ける、4は分けない。
久保内:ケースによる場合分けのうち、東海第二で、日本原電が津波対策工事で対象としたのはどのケースか?
安保:これは検討ケースで、どのケースというのは…どこまで対策が必要か検討しているものだ。
久保内:では、それは後ほどにします。
【指43-1 東海第二津波評価と対策について 2008.12.3】
【指43-2 東海第二津波評価と対策について】
久保内:右下に「津波対策工」とある。
【指43-3 東海第二津波評価と対策について】
(2)ケース2、3の場合 ケース4の場合
(2)ケース2、3の場合 ケース4の場合
久保内:ケース2、3の場合は、どう考えていた?
安保:ケース2、3は、押し波はポンプ室前面と側壁を高くする必要がある。敷地影響は盛土で遡上していない。引き波は厳しい。ポンプ(吸い込み口)を1.1m下げる必要がある。
久保内:ケース4は?
安保:押し波は、前面壁の嵩上げも考えられるが、別案が必要。取水口前面に壁を造る。課題が多く、有力案が見出せていない。この場合、盛土を越えて遡上するので、建屋浸水対策も必要。引き波はケース3と同じ。
久保内:右下の「まとめ」を見ると、BC報告書はケース1、ケース2でまとめるとある。
ケース1、2は、茨城県の波源を使うということか。
ケース1、2は、茨城県の波源を使うということか。
安保:はい。
久保内:推本の「どこでもM8が起きる」について、「青本改訂の中で検討」「現在見通せない」とある。(見通せないが対策を)検討していくということか?
安保:はい。
久保内:「しかしながら押し波は対策困難」「まずはケース2、3」「その場合推本を見通して大規模な手戻りがないように」
これは、推本の反映を見通しておくということか?
これは、推本の反映を見通しておくということか?
安保:はい。
久保内:まずはケース2、3を実施すると?
安保:はい。
久保内:ケース3は、推本の北と南を分けたものか?
安保:はい。
久保内:「大規模な手戻りがないように」の趣旨は?
安保:ケース2、3を、ポンプ室以外は推本を考慮しても比較的容易にできるから実施。ポンプ室はこの段階では容易にできない。ケース4の対策は、今後見通せないが可能性はゼロではない。ケース4が必要となった時に、またすごくお金がかかるようにならないよう、手戻り起きないようにと。
久保内:引き波対策は、ポンプの延長工事をしたか?
安保:していると思う。
久保内:工事を行う際、保安院へのQAがあったか?
安保:あったと思う。
【指47 工事変更理由】
【指47-4 想定Q&A】
「Q その他の津波対策」
「A 評価上、建屋に遡上しません」
「Q その他の津波対策」
「A 評価上、建屋に遡上しません」
久保内:なぜ遡上しないと書いたか?
安保:この時点で、対外的に遡上するよう書いていない。対外的には「遡上しません」としている。
久保内:この段階で、盛土や浸水対策工事を計画していましたよね?
安保:それは、ここの「万が一」のところ。自主的に設置します、と。対外的には…と。
久保内:平成21年3月10日の常務会で報告したか?
安保:資料を見ないとわかりません。
【指50 常務会報告書 2009.3.10】
【指50-2 パワーポイント】
久保内:資料作成に関わったか?
安保:一部関わった。
【指50-3】
久保内:この資料の作成に関わったか?
安保:はい。
久保内:「検討案」とは具体的に何か?
安保:この資料は、推本の「どこでも」について、点線のところで南北に区分できる可能性があると。
「検討案」は、「※2」が茨城県の波源、「※3」は推本の波源と同等となる。
引き波(の対策)は推本と同等である。
「検討案」は、右の赤で分けているが、この部分で分けられると想定した場合の検討案。北は1611(慶長三陸)、南は1677を想定。
「検討案」は、「※2」が茨城県の波源、「※3」は推本の波源と同等となる。
引き波(の対策)は推本と同等である。
「検討案」は、右の赤で分けているが、この部分で分けられると想定した場合の検討案。北は1611(慶長三陸)、南は1677を想定。
久保内:押し波に対しては?
安保:水位に対する対策を基本とする。
【指50-3? 対策方針2/3】
久保内:推本を取り入れた検討案は、最低でも水位H.P.+8.19で建屋が溢水する?
安保:はい。
久保内:最高はH.P.+9.54。押し波はこの対策が必要になると?
安保:はい。
久保内:ポンプの「船舶衝突防止対策」とは?
安保:船がたまたま近くにいて、津波で船が施設にぶつかってくることに対しての影響を検討すると。
久保内:漂流物対策だと?
安保:漂流物で一番危険なのが船舶なので。
久保内:常務会で異論はあったか?
安保:特にない。
久保内:反対が無いということは、承認されたのか?
安保:これは報告なので、報告されたということ。
久保内:決裁書になるとどうか?
安保:決裁され、具体的手続きになる。
久保内:証人は、(2009年)3月末で東電に戻った?
安保:はい。
久保内:(決裁書の)資料を見れば言えるか?
安保:はい。
久保内:資料を確認したか?
安保:はい。
【指52 「決裁書」 2009.6.17】
海水ポンプ室
海水ポンプ室
久保内:津波対策工事。どのような工事か?
安保:先ほどの、これは押し波に対する(海水ポンプ室)側壁の工事。
久保内:日本原電にいた時、どの案があった?
安保:ケース2、3に対応する、壁を高くする案を考えていた。
【指52-2 「概要説明書」】
高さ4.2m
押し波 壁越える
高さ4.2m
押し波 壁越える
久保内:右の図面、上と下がある。どういう図面か?
安保:先ほど言ったが、一番上までやるのがケース2、3。次回までに、ケース2、3までやるという図と、今回の工事の図。県の浸水予測図より高いところはやろうと示している。
久保内:赤い線の囲みで「今回施行範囲」、青で「次回施行範囲」とある。今回の工事はH.P.+7mまでの工事か?
安保:はい。
久保内:青は次回と?
安保:はい。
久保内:今回施行範囲は、ケースどれか?
安保:図を出して頂ければ…ケース1から4の表を…。
【指48】
安保:ケース1までは対策が取れている。
久保内:ケース1は6.61m、7mまで嵩上げはケース1に対する対策か?
安保:はい。
久保内:次回施行は?
安保:ケース2、3に対する対策。
【指53 「竣工届」 2009.10.30】
久保内:7mの嵩上げ完了か?
安保:そうだと思います。
【指55 完了通知書 2010.10.13】
「津波検討ケース」
「津波検討ケース」
久保内:ケース0からケース4のうち、2010年10月13日時点で、ケース3まで対策を実施していた?
安保:ケース3は最低限を。ケース4までやっているところもある。
久保内:盛土はケース3まで実施済みか?
安保:はい。
久保内:発電所の建屋は浸水対策はやっていない?
安保:浸水対策は必要だと考えていた。
久保内:ケースいくつまで予定されていた?
安保:ケース4。
久保内:今回の(3.11の)東海第二での津波高さは把握しているか?
安保:詳細は覚えていない。
久保内:東海第二の被害、影響は把握しているか?
安保:ニュースで聞いている。
久保内:原子炉建屋の敷地高を超えたか?
安保:超えていない。
久保内:海水ポンプは?
安保:側壁高さを上げることにより効果を上げていると聞いている。
渋村:指定弁護士の渋村からお聞きします。
長期評価のBCにおける取り扱いについて、日本原電も東電と同じ方針と言ったが、日本原電は長期評価に対する対策もやっている。それはどうしてか?
長期評価のBCにおける取り扱いについて、日本原電も東電と同じ方針と言ったが、日本原電は長期評価に対する対策もやっている。それはどうしてか?
安保:当面のBCは、推本の扱いを土木学会で検討してもらって、一定の結果を踏まえてまた評価するとなったが、対策を取らなくてもいいと、その時点でなった訳ではない。その(推本を取り入れる)可能性があるので検討をして、引き波対策は、1回工事してまた後で延ばすことになるより、可能性があるなら1回でやる検討をする。少し延ばせばいいので対応するなど、リスクを見ながらできるものは実施した。
渋村:東電の進め方でいくことになった理由は、東電に従わない訳には、なかなかいかないから?
安保:東電の方針に従わなくてはいけないというより、津波の波源は四社で連絡を取って、どこでどう起こるにしても四社が審査をすれば(対策は)同じものになってくる。そういう意味で、四社それぞれ方針に対して、それを覆してこうやるべき、とはならなかった。
渋村:検察庁での聴取で、当時、「リーディングカンパニーである東電に従わないということは考えにくい」と言ったのではないか?
安保:そういう言い方もしていたかも。
渋村:東電の、(2008年)7月31日の打ち合わせの後、酒井さんから聞いた話を検察庁で述べたか?
安保:それについて、今は思い出せない。今は記憶があまり無い。
渋村:酒井さんは、「柏崎刈羽も止まっているのに、これに福島も止まったら、経営的にどうなのか」と言ったのではないか?
岸:(秀光弁護士・勝俣の弁護人)最後まで言ってください。「と思います」と言ったはずです。
渋村:では正確に言います。
「『柏崎刈羽も止まっているのに、これに福島も止まったら、経営的にどうなのか、って話でね』と酒井氏は答えたと思います」こう述べましたか?
「『柏崎刈羽も止まっているのに、これに福島も止まったら、経営的にどうなのか、って話でね』と酒井氏は答えたと思います」こう述べましたか?
安保:述べたかどうか、今の記憶は無い。その時はそう(酒井氏が答えたと)思ったかもしれません。
主尋問終了
14:15
反対尋問
岸:勝俣の弁護人、岸から。
茨城県の波源モデルについて聞く。「茨城県想定モデル」「非均質モデル」「アスペリティモデル」とも言うか?
茨城県の波源モデルについて聞く。「茨城県想定モデル」「非均質モデル」「アスペリティモデル」とも言うか?
安保:そのように認識している。
岸:土木学会津波評価技術の基本断層モデルは長さ200Km、幅50Kmの長方形モデルか?
安保:そう認識している。
岸:茨城県のモデルは、長方形ではなく、凹凸がある?
安保:そう認識している。
岸:茨城県モデルは、独自の痕跡高に基づく波源モデルか?
安保:正確には、最新の知見を反映したもの。
岸:痕跡高に基づいている?
安保:はい。
岸:痕跡高は何に基づいているか?
安保:建物の崩壊率か?正確には……。
岸:家屋の被害率を推定しているのか?
安保:そういうことかと思う。
【指6 東電との意見交換メモ 2007.10.23(メモ作成日は24日)】
岸:「茨城県の波源モデルは過大評価では(東電)」とあるが、理由に思い当たることはあるか?
安保:パラスタする場合、さらに安全側になるから過大評価ということではないか。
岸:「茨城県は痕跡高に最大値を用いている」。どういうことか?
安保:どっかで評価は安全側に立つ。茨城県は痕跡高の最大値でそうしている。
【弁1 茨城県 概要版】
岸:図4-2-2、上が村の名、2段目が推定浸水高か?
安保:はい。
岸:福島、茨城の図。那珂湊は推定4.5mから5.5mの幅がある。茨城県の波源モデルは数字の大きい方で設定されているか?
安保:…すみません、そういうことかな?と思う。
【弁6】
岸:真ん中から下、防災上安全側の想定のため、痕跡高の最大、幅のあるうち最大を採用している?
安保:そうですね。
【指6-2 東電との意見交換メモ 2007.10.23(メモ作成日は24日)】
「中防(中央防災会議)のすべり量の4割増し」「土木学会のパラスタのような位置づけですべり量を割り増す」
「中防(中央防災会議)のすべり量の4割増し」「土木学会のパラスタのような位置づけですべり量を割り増す」
岸:この趣旨は?
安保:「パラスタのような位置づけ」というのは、安全サイドに大きくするということだと思う。不確実性がある、何を安全側に、ということで、土木学会でもやっている安全性を高めるための手法、ここではすべり量を増やしてやっているのではと思う。
岸:土木学会は安全寄りにするためのパラスタを、走向、傾斜角の数値などを変えてやっている?
安保:はい。
岸:茨城県モデルも、パラスタと同じように、元々のものを割り増している?
安保:「同じように」というのは難しく、それをやってパラスタと同じと言えるか。安全サイドを取るやり方は違うが、そう解釈できる。
【弁2 東電設計打合せ 2007.11.19】
茨城県モデル 土木学会既往モデル
茨城県1677評価速報
茨城県モデル 土木学会既往モデル
茨城県1677評価速報
岸:日本原電作成か?
安保:東電設計が試算して、日本原電が作った。
岸:結果が2つに分かれている。茨城県と日本原電と。どういう意味か?
安保:推測では、県の浸水予測図そのものが推定によるもの。日本原電は、より詳細な海底地形図や陸上構造物の有無のデータがある。それで遡上高さが変わるので、日本原電の最新データでやってみて比較したのだと思う。
岸:日本原電のその計算は東電設計がやった?
安保:…だと思います。
岸:はっきりしない?
安保:すみません。計算するなら東電設計しかないが、内容が正しいかどうかは…。たぶんそうだと思う。
【弁3 2007.11.19】
茨城県踏まえた今後の検討(案)
茨城県踏まえた今後の検討(案)
岸:日本原電の作成か?
安保:多分。
岸:「1677痕跡高評価」のところ、「建物被害は全て津波による被害と仮定(安全側)」とあるが?
安保:地震による被害もあると…? 前のことなので……。ここでは、全て津波による被害とする。(実際は)地震もあると。
岸:「安全側」とは、全て津波で倒壊したとすると。それが安全側か?
安保:地震も……資料がないとよく分らない。
【指8 東海第二耐震タスク 2007.12.4】
【指8-2 バックチェック報告書及び対策検討での取扱い】
岸:案1から案4。「一番厳しい推本について検討を実施」というが、推本の取り扱いについての判断は、他電力との調整も判断に入れたか?
安保:はい。
岸:独自には決められないのか?
安保:独自にやっても情報を共有する。
岸:推本を確定論で扱わない場合もありえると?
安保:もちろんそう。扱わないなら次に高いのはこれだよ、という趣旨。
【指9 推本に対する東電のスタンスについて(メモ)「高尾課長からのヒヤ」 2007.12.10】
岸:先ほどの指定弁護士からの質問で、東電の高尾さんへの聞き取りの時に「確定論で取り扱わざるを得ない」と言われたと?
安保:はい。
岸:これは、東電の担当者の見解か?
安保:「酒井GMまで確認」とあるので、そこまでは確認しているのだと思う。
【指11 関係各社打合せ 議事録 2007.12.11 (四社情報連絡会)】
岸:日本原電の意見は?
安保:推本について社内で議論して、BCで扱わざるを得ないと。しかしMw8.3及び8.6は、福島・茨城では過大だと。Mw8.2を設定することも考えられるのではと。
岸:マグニチュード8.2というのは長期評価か?
安保:ここでは、建築Gが基準地震動に設定する候補を挙げている。推本を踏まえて、この時点ではMw8.2と設定して、このときは建築が8.2を用いていたので、(津波対策でも)8.2を用いるべきと。
岸:Mw8.3を用いるというのは、土木学会の明治三陸が8.3だから、房総沖に持ってきても8.3と?
安保:どこでも起きる、だから最大の8.3を持ってくると。
岸:もっと小さい8.2でも、とはならなかったか?
安保:数値そのものは小さいが……私は建築側の耐震に関することは正確に答えられない。あまり影響がないなら8.2の場合もあるのでは。
【指11-2】
岸:「まとめ」として、「宮城県沖を境に南北が異なるという論文が多数ある」と安中氏から。こんな議論があったか?
安保:はい。
岸:日本原電も推本に基づく解析をしたか?
安保:はい。
【指13 地震本部津波 三陸沖から房総沖】
岸:これは、明治三陸を東海第二正面に持ってきたものか?
安保:それを含めて最大のもの。それが図の右上。
岸:正断層も入っている?
安保:正断層も明治三陸も、一番大きいものが入っていると思う。
【指13-3 東海第二 津波影響評価結果】
岸:この資料は安保さんが作られたものだと。中身を確認してください。
「P上」とは?
「P上」とは?
安保:ポンプ室の上まで上がる波。
岸:黄色い棒グラフは「県解析」と?
安保:県がすべり量を1.2倍にしている。県の波源モデルは非均質モデルとなっている。忠実に、県の波源モデルそのままだと思う。
岸:非均質モデルをそのまま使ったと?
安保:はい。
岸:緑の「茨城県」は?
安保:簡単に言えば、先ほどの県のモデルの波源ではなく、土木学会手法でパラスタできるように長方形にした。県の波源はパラスタしないので最大値を取っている。こちらは、痕跡高の平均的な所をとって設定し、パラスタして安全側を考慮したモデルと理解している。
【指18 常務会報告書 2008.3.10】
岸:左の図「茨城県津波評価の反映」のところの、赤が県のモデルそのもの?
安保:はい。
岸:従来の土木学会が青?
安保:1677年の延宝房総沖を基にしたのがブルー。
岸:赤の、茨城県のモデルに合わせ、沖合の青を96Km延長したと?
安保:そうです。
岸:96Km延長したうえで、パラスタをした、それが指定弁護士資料13の3枚目の緑のグラフだと?
安保:そういうことです。
【指13-3 東海第二 津波影響評価結果】
岸:黄色が県そのまま。緑が県を長方形にして96Km延ばしパラスタ。赤が推本の明治三陸モデルを正面に持ってきた。こういうことか?
安保:正面というか、一番大きくなるところだ。
【弁5 「図-3 想定津波における評価点と評価項目」】
岸:指定弁護士資料13の3枚目の「P上」は、この資料のどこか?
安保:ここでいうと……? (回答するには)いずれにしても、ポンプ室の位置が知りたい。解析上は。どこかはすぐには分からない。
岸:解析の時にメッシュに区切ると、メッシュ単位でしか(水位が)出ない?
安保:だからどこに置くか、解析上どこに置くのが合理的か、を検討した記憶がある。
岸:「P上」は、だいたいどこか?
安保:ポンプ室1か……いや、引き波がポンプ室1か?
岸:いずれにしても2つの防波堤の中だと?
安保:はい。
【指13-3 東海第二 津波影響評価結果】
「港南上」
岸:「港南上」はどこ?
安保:エリア4のどこか。
【指17 津波バックチェック打ち合わせ 議事記録 2008.3.19】
【指17-2】
「(3)日本原電」
1896三陸沖は、東海第二前面日本海溝沿いに設定しない方向で、今村教授へ相談に行くことを検討している
「(3)日本原電」
1896三陸沖は、東海第二前面日本海溝沿いに設定しない方向で、今村教授へ相談に行くことを検討している
岸:1896を持ってこないということか?
安保:そう考えている。
岸:1896でないと、どうするのか?
安保:他に1677を持ってくる…いや、一方はない…うーんと、…いずれにしても、過去最大を、前面は(津波地震の)空白地帯なので、上から(1896を)下に持ってくることは、必ずそうしないといけない場合ではないと。
岸:海溝沿いは、北と南が分けられるのではという議論がある。日本原電としては、北と南を分けるのは成り立ちうると考えたのか?
安保:そういうことで審査に通るかも知れないと。可能性はないことはないと考えていた。
15:00休廷
15:24再開
岸:引き続き岸からお聞きします。
【指18 常務会報告書 2008.3.10】
【指18-5】
岸:ポンプ室の対策案例か?
安保:はい。
岸:推本で9.54m、点線になっている。「推本への対応は非現実的」というのはなぜか?
安保:補強することも考えられるが、高さを上げるだけでは、波力も強く、二重に効いてくるので難しい。別の対策が要る。
岸:「水密性確保のために屋根を設置」とは?
安保:図の赤い横棒のところ、上にかぶせて水が来ないようにと。
岸:推本の9.54mへの、水密化確保は実現可能か?
安保:具体的対策はできていなかった。
岸:問題点は?
安保:嵩上げでは難しい。水密性の屋根、これもずっと閉じているわけにいかない。津波が来ると自動的に閉じるとか、机上で考えていたが、確実に、は難しい。もっと根本的、大々的な対策はこの時は考えていない。
岸:クレーンが乗っかっているが、何のため?
安保:ポンプ補修のため。
岸:屋根をつけると、補修などができなくなると?
安保:いえ、それもあるが、ポンプの発電機が酸欠になる。空気の入れ換えをしないと。
岸:密閉は難しいということか?
安保:はい。
【指20 2008.5.9 TEPSCO】
岸:防潮壁を仮定したときの検討。
【指20-1】
岸:海側に防潮壁。高さを変えてシミュレーションした?
安保:はい。
【指20-2】
岸:上にグラフがある。防潮壁が無いときは赤色、それと1から3mに変えたときの数値か?
安保:はい。
岸:グラフ横軸1から51はどう見ればいいのか?
安保:防潮壁1と書いてあるが、ギザギザに壁がある。
岸:1枚目を再度示す。防潮壁1が①で、ギザギザに走っていて、90度下に曲がっていて、2枚目のグラフの1になるか?
安保:1は一番左側。
岸:29から31は?
安保:直角に曲がっているところ。
岸:51はどこか?
安保:一番下。
岸:直角に下がって一番先か?
安保:はい。
岸:グラフ見ると、(防潮壁が)無しのとき、0.851mは39のところ。1枚目ではどの辺か?
安保:①の字の、ここ。
岸:①と書いてある右側やや下あたり?
安保:はい。
岸:要するに南側が(水位が)高い?
安保:はい。
岸:(防潮壁を)4から5mにするとか、波が入らないようには考えなかったのか?
安保:2から3mでもあまり効果がないというのがひとつ。あと、(浸水が)20㎝くらいになれば、建屋周辺でもなんとかなるなと。ある程度なら周辺の対策でもなんとかなると思ったのでは。
岸:防潮壁②は南か?
安保:南に設置した場合どうなるかの概略。
岸:南にしたのはなぜ?
安保:南から高い波が押し寄せると解析したので。
【指21 防潮築堤 2008.5】
岸:盛土の対策案。この土はどこから手に入れようと?
安保:地盤改良工事の排泥を利用しようと。
岸:盛土する場所は「グラウンド」「産廃仮置き場」か?
安保:はい。
岸:それと、図の、波消しブロックの上のところか?
安保:はい。
岸:それと、グラウンドの上の道路部分か?
安保:はい。
岸:「盛土+8~9」とは、盛土した後の高さか?
安保:そうだと思う。
岸:グラウンドも+8.5~10と?
安保:そう。8.5のところもあるし、高いところは10mと。
岸:推本の明治三陸の計算だと12mの津波高さになり、足りていない。足りていないところはどう対策する?
安保:足りていないので遡上する。もし明治三陸を考慮するならこの対策だけではダメ。さらに嵩上げするか、建屋で対策するか。
この時点では盛土に加えて建屋周辺の侵入対策になった。
この時点では盛土に加えて建屋周辺の侵入対策になった。
岸:盛土高さはどう決めた?
安保:あたりの計算で、2から3mでそれなりの効果があるとして決めた。
岸:排泥の数量は?
安保:問題になった。ボリューム感を考えながら、最終的に2mあれば南側の効果があると。あとボリュームで最終的に施工図ができた。
岸:概算数量は3万平米(立米の誤り)と?
安保:はい。
岸:波消しブロックの上はなぜ盛土した?
安保:ここが低くなっていたので、ある程度の高さがあればと。ここは低かった場所。
岸:どのくらい低かった?
安保:すみません。記憶にないです。
岸:盛土は、南から来る津波の遡上を念頭に設置した?
安保:一番影響が大きいと思った。
【指24 四社情報連絡会 議事録 2008.7.23】
<原電>
日本海溝沿い波源は1677を設定できないか今村先生ヒヤを考えている
東電設計安中さんが、日本海溝沿いを北と南に区分できる 8/18までに
<原電>
日本海溝沿い波源は1677を設定できないか今村先生ヒヤを考えている
東電設計安中さんが、日本海溝沿いを北と南に区分できる 8/18までに
岸:東電設計の安中さんが、8月18日までに資料を作成すると?
安保:はい。
【指25 酒井発メール 安保・東北電力松本宛 2008.7.31】
今後、電共研で当面、耐震BCは土木学会津波をベースとする。有識者の理解を得る
今後、電共研で当面、耐震BCは土木学会津波をベースとする。有識者の理解を得る
岸:土木学会で審議する。この意見に賛成だったか?
安保:賛成かどうかと言われると難しいが、こういう選択肢はあるな、と。
岸:事業者だけでは決められなかったのでは?
安保:推本を見れば誰でも評価できるというものではない。推本の長期評価を踏まえてどう決めていくか。決めればできる。
岸:ルール化してほしいと?
安保:はい。
【指27 日本海溝沿い津波に関する打合せメモ 2008.8.6 (四社情報連絡会)】
福島沖茨城沖
福島沖茨城沖
岸:日本原電は、推本の1896ではなく、南の1677を使えば推本の見解を反映したことになる、ということなんでしょ?
安保:見解には解釈がある。「どこでも起きる」を反映したことになるという意味。
【指26 常務会報告書 2008.8.5】
【指26-5】
「東海第二津波対策(盛土)」
「東海第二津波対策(盛土)」
岸:グラウンドが、さっきと数値が違う。どうしてか?
安保:エレベーション(EL)、表記の違いか?考え方が違ったかもしれない。
岸:排泥が2万立方mと。3万から減っているが?
安保:比較するとそうですね。
岸:量によって変わってくるアイデアなのか?
安保:基本的にそう。足りなかったから減らしたのか、正確には分からない。
岸:3-1-7の「建屋津波対策」に、「大物搬入口などの堰があり」とある。ある程度の浸水は仕方ないと?
安保:私の所掌するところではないのでコメントできかねる。
岸:ドライサイトという考え方がありますね?
安保:はい。
岸:ドライサイトとは何か?
安保:水が来ないようにすること。
岸:原発はドライサイトが大前提なのでは?
安保:その時は、全てをドライサイトにするというのはやっていなかった。
岸:日本原電内部の資料か?
安保:はい。
岸:「現状」の「②東北電力」のところ、「推本のどこでも起きるを考慮せず」とある。東北電力はこういう立場だった?
安保:ということだと思う。
【指30 高尾発メール 安保宛】
岸:これは?
安保:東北電力は、その時点ではそう(推本を考慮しない)だったと思う。
岸:その後、平成21年3月までに変わったと?
安保:どこまで、これが最終的かは確約できないが、最終的にはそうじゃなかったような気がする。その時点ではそうだが、その後もそうだったかわからない。
【指30-2】
岸:一度、目を通してください。
「家屋倒壊率の信頼度を土木学会で審議し、津波評価技術の改訂時に取り込む」とある。痕跡高を推定するための家屋倒壊率の信頼度を、土木学会で審議すると?
「家屋倒壊率の信頼度を土木学会で審議し、津波評価技術の改訂時に取り込む」とある。痕跡高を推定するための家屋倒壊率の信頼度を、土木学会で審議すると?
安保:改訂するなら、もちろんこれもやったほうがいいという意向だと思う。
【指33 高尾発メール 安保宛】
「アスペリティモデルをどのように想定津波に」「研究項目としています。」
「アスペリティモデルをどのように想定津波に」「研究項目としています。」
岸:どういうことか?
安保:茨城県モデルは一枚モデルではない。それをBCにどう入れるか。以前パラスタのためのモデルを検討していたが、これに限らずアスペリティモデルをどう検討するかと。研究項目にしたというのは、今回はパラスタは扱わないということ。
岸:研究項目というのは、土木学会で取り上げるという意味でしょ?
安保:はい。
【弁4-1 高橋先生説明議事録】
先生コメント 「アスペリティモデルを用いることは可能」「等価モデルによるパラスタに決めつけずに」
先生コメント 「アスペリティモデルを用いることは可能」「等価モデルによるパラスタに決めつけずに」
岸:趣旨は?
安保:等価モデルはパラスタできるが、パラスタは、アスペリティモデルにはすぐ使えない。しかし、できないことはない、やり方はある、そういうアイデアを持っている、と言っている。
岸:土木学会手法は長方形のモデルにパラスタをするが、ゆがんだ形のモデル、アスペリティモデルでも何らかのやり方があるということか?
安保:そういう趣旨だ。
【指33-2 高尾発メール 安保宛】
日本海溝沿い北部と南部で発生様式が違うという論文がある。
電共研で津波PSAの研究をしている。3つの分岐の重みづけアンケートをする。
日本海溝沿い北部と南部で発生様式が違うという論文がある。
電共研で津波PSAの研究をしている。3つの分岐の重みづけアンケートをする。
岸:これからアンケートをすると?
安保:そうですね。
岸:結果の中身は知っているか?
安保:どれだけの内容かというのは記憶がない。
岸:専門家の意見を聞いてみたいということか?
安保:はい。
【指34 高尾発メール 安保宛】
「福島沖や茨城沖のように過去に津波地震が起きていない領域で波源を置く」「アスペリティモデルが提案されている場合の想定津波の設定方法」
「福島沖や茨城沖のように過去に津波地震が起きていない領域で波源を置く」「アスペリティモデルが提案されている場合の想定津波の設定方法」
岸:アスペリティモデルでどのようにパラスタをするのかを土木学会で審議するということか?
安保:アスペリティモデルではなく一枚モデルでやるかもしれないことを含めてだと思う。
【指39 「緊急実施伺書」 2008.11.10】
岸:盛土の対策について、他の工事の変更案なのだと言ったが?
安保:地盤改良の工事で、発注した時は排泥利用は考えていない。この工事に関連するので、変更した。
岸:「なお、貯留する場所が必要なため」これは泥が出てしまうから?
安保:本来は産廃で、ドロドロなので、乾燥させるため用地もいる。それがグラウンド。そういう対応をするということ。
岸:数量が1万4千立方m。さっきは2万。また減ったのか?
安保:最終的にどうなったのか…。排泥なので、盛土全てではないので。
岸:もし排泥が出なければどうしたか?
安保:このように早くはできなかったかも。仮定のことなので答えかねる。
岸:どっかから泥を持ってくるということもあるか?
安保:1から3mの(仮定の)壁を作って確認したのは、たぶん排泥が利用できそうで一石二鳥だから実施したような気がする。排泥がなければ違ったかも。
【指40 「竣工届」 2009.5.29】
完了証明書 (盛土の写真)
完了証明書 (盛土の写真)
【指40-3】
排泥有効利用2
排泥有効利用2
岸:グラウンドは(盛土されていると)分かるが、南の産廃仮置き場は盛土しているか?
安保:多分している。産廃処理場の上側、削られていて、道路を作るのに盛土しないと作れなかったのでは?
【指21 防潮築堤 2008.5】
岸:していないように見えるが?
安保:断面図があると分かるが…多分しているんじゃないかと。
【指40-3】
岸:波消しブロックの上のところは盛土しているか?
安保:この図はあまりしていないような……。
岸:どのように思う?
安保:海の方はあまりしていないような気がする。
岸:あまり関わっていないのか?
安保:最終的には関わっていない。正確に覚えていないので答えられない。
【指44 「技術検討書」】
岸:建屋水密化の技術検討書。東海第二構内の押し波の高さはどう評価した?
安保:シミュレーション解析で。
岸:どのようにやった?
安保:いつものを拡大して。
岸:盛土前提か?
安保:多分、この時点では盛土の効果を考慮した。盛土の最終的な形状は違うかもしれないが、あるものとしてシミュレーションした解析結果。
岸:防潮壁②が1から3m、シミュレーションとは違って盛土前提で行った?
安保:1から3mの試計算をして盛土効果あると確認し、盛土計画案を作って、盛土した場合にどのくらいの(浸水)高さになるか計算した。
岸:盛土は傾斜があるが、反映したか?
安保:はい。
【指44-2】
岸:「防潮板」とある。シャッターの下に板を貼るイメージか?
安保:直接担当していないので、そうであろうと。
岸:津波の時、常に板があるのか?
安保:その高さ分だけ常にあると思う。
岸:海水ポンプの押し波対策は、安保さんのいた平成21年3月までに着手していないのか?
安保:はい。
岸:どうして?
安保:対策検討で…。どうしてかと言われると何と答えていいか…。
岸:検討が進んでいなかったのか、推本の対策を取れなかったからか?
安保:いろんな要素があった。どこまで検討するか、その時点でいろんな検討案があったが、これでいこうとは…(決まらなかった)。一方で、急いでやらなければとも思っていたが、対策実施までは……発電所との調整もあった。
【指50 常務会報告書 2009.3.10】
東海第二津波対策工事1/3
東海第二津波対策工事1/3
岸:波源は南と北で区分すると考えられていたか?
安保:電共研で検討する予定だと。
【指51 2009.4.23 (原電資料)】
「バックチェック報告ではケース0、ケース1でまとめる」
「バックチェック報告ではケース0、ケース1でまとめる」
岸:安保さんは、この時はもう在籍していない。
ケース0は青本、ケース1は茨城県のアスペリティモデルのパラスタ無し。「(2)」で、推本は「扱い見通せない」とあるが、安保さんがいた時もそうか?
ケース0は青本、ケース1は茨城県のアスペリティモデルのパラスタ無し。「(2)」で、推本は「扱い見通せない」とあるが、安保さんがいた時もそうか?
安保:そうですね。
岸:先々、土木学会に審議を委ねると。南北に分けることがテーマの一つか?
安保:はい。
岸:茨城県モデルの痕跡高の信頼度について、高尾さんとのメールがあったが?
安保:それにアスペリティモデルをどう扱うかと。
岸:均質モデルにするかと、パラスタをどうするか、か?
安保:あと、南北に分けるのはテーマだが、そもそもどう設定するのか、その一つとして南北に分けると。どう評価するのかと。
岸:安保さんは、明治三陸が茨城沖で本当に来ると思っていたか?
安保:至近に来るとは、現実的には思わなかった。
岸:肌に感じて来ると思ったか?
安保:思わなかった。
岸:東海第二の現地の、現場の人が、津波対策をしなくて大丈夫だと考えていたか?
安保:どう考えているかコメントするまでのことは無かった。
岸:あまり危険を感じていなかったと?
安保:ん~、あ~っと、え~っと……正確にはお答えできない。
岸:津波対策をするまでの間、原子炉を停止したか?
安保:いつのこと?
岸:安保さんがいた時。
安保:工事をやる場合、定検(定期検査)とかその間に対策できるようにとしていた。
岸:工事している間、ずっと停めておくと考えていたか?
安保:その具体的な検討はやっていない。
岸:津波対策をしないといけないから、原子炉を停めようという意見はあったか?
安保:津波対策の工事は、引き波ならシャフトを延ばすのを、ある工事に合わせて延ばすとか、全体の中でいつやるかは検討した。
岸:対策工事のために原発を停めることはあったか?
安保:私がいるときにあったかどうかは…?
岸:対策を取らない限り停めないと、となったか?
安保:盛土は別に停めなくてもできるし、内容によってだと思う。
岸:盛土は原子炉をいじくらないから停止しなくてもよいと?
安保:そうだったと思います。
岸:関係各社との会議の時、対策取る間は運転を停めておこうという話が出たか?
安保:運転のことは正確には答えられない。
岸:運転停止しなければいけないと話し合ったことはあるか?
安保:いけないというか、対策によっては停めての対策が必要になることはある。そうなれば最小化しないと、と。
岸:安保さん自身が、津波対策の切迫性は感じていたか?
安保:切迫性は感じていないように思います。
岸:切迫性がないなら、運転停止の必要がないと思ったか?
安保:一方で、BCがあったので、そこでどう評価されるか。十分な対策でないと最悪のことにつながると。
岸:それはBCに通らない場合のことか?
安保:BCを通すときに、現状と対策がかけ離れている場合。
岸:対策実施して、十分な対策を取ったと思うか?
安保:「十分な」というのは難しい。その時々で検討して、必要なもの、できるものを鋭意やったと。
岸:では、これで。
16:40
再主尋問
渋村:先ほどの弁護人の質問で、東電の長期評価の取り扱いについて、「ルール化してほしいか」との問いに「はい」と答えた。
東電の長期評価への方針に、積極的に賛成した訳ではなかったのでは?
東電の長期評価への方針に、積極的に賛成した訳ではなかったのでは?
安保:そこは積極的かどうかは答えづらい。逆にBCに取り入れなければならない方向ができてて、それと別の選択肢を選んで、それはそれで同調したと。
渋村:確認をしますが、東電の方針を聞いて、平成20年8月、(日本原電)社内のミーティングで、「市村開発計画室長は、『こんな先延ばしでいいのか』『なんでこんな判断するんだ』と述べ、その場が気まずい雰囲気になった」と。そして「東京電力の方針を受け入れる代わりに、長期評価をバックチェックに取り入れない積極的な理由は東京電力に考えてもらいたかったと考えた」と。日本原電はそのように考えていたのではないか?
安保:日本原電が推本を取り入れるところからスタートしていない。東電が推本を取り入れるところからスタートした。そうなるからには、ちゃんと東電が説明できるように、と思っていた。
16:44
補充尋問
左陪席:今の指定弁護士の「こんな先延ばしでいいのか」のほかに、さらに社内でどういった議論があったか覚えているか?
安保:それは、もうその方針で行くと言われた。それ以降に議論は無かったと記憶している。
左陪席:その意見に対して、妥当性の検討は無かったか?
安保:何に対する?
左陪席:「先延ばし」に対する意見交換は無かったか?
安保:はい。
左陪席:原子炉を停めて対策する場合もあると。具体的にはどういう場合か?
安保:私は土木なので正確には答えられない。機器に関係するところをいじる場合は定検の時にやったりする。関係ないとできる。盛土とか。
右陪席:今井からお聞きします。
平成21年5月に完成の盛土は、地中の構造物と干渉しないか?
平成21年5月に完成の盛土は、地中の構造物と干渉しないか?
安保:地中構造物とは、ほとんど干渉しない場所だ。
再主尋問
久保内:長期評価の推本津波をBCに取り入れる方針は、(2008年)8月ごろから、当面取り入れず土木学会に委託する方針に日本原電は同調したと?
安保:はい。
久保内:一方で、盛土、浸水、引き波対策を実施した。それは矛盾しないのか?両立するか?
安保:両立する。当面のBCには入れないが、その当時、2年3年かけてやるのに最終的な結果も見通せていない。3年後になって推本津波を取り入れるとなった時にすぐに工事できない。検討して、やれることはやっておく。(推本を取り入れることになる)リスクを考慮しながら早めにやったり、裕度を持って色々な評価をしなくてはいけないが、少なくともその当時は、茨城県津波対策はしないといけない。推本もそれと一緒にやったほうがいいのか別々がいいか、どれだけの対策をするか検討する。やらなくていいと決まった訳でないから、BCもどこまで考慮するか進捗を見ながら。
再反対尋問
政木:武黒の弁護人の政木(道夫弁護士)です。後ろから失礼します。
BCを通すためにどのようなことをするかが問題意識だと?
BCを通すためにどのようなことをするかが問題意識だと?
安保:はい。
政木:推本を取り込むか、取り込むならどうするか考えたのか?
安保:はい。
政木:取り込む対策をした方がBCは通りやすいと?
安保:そうできれば。
政木:一方で、推本は「どこでも起きる」と。実際に起こるかどうかはどう思っていた?
安保:少なくとも切迫性は無かったが、といって起きないという証明も難しいと。
政木:実感としては、すぐに起きるとは思っていなかったと?
安保:はい。
政木:起きないという証明が難しい?
安保:はい。
政木:起きませんよと論理的に説明するのが難しいと?
安保:最悪のリスクまで容認可能ならするし、できないならどうするか考えながら。
政木:先ほど弁護人から、原子炉を停めなくてはと現場の人が言わなかったか、と聞きましたね?……返事をしてください。
安保:はい。
政木:改めて聞きますが、津波対策を検討している間、検討しているから、先に原子炉をすぐ停めないと危ないよと思ったことはあるか?
安保:それはない。
政木:日本原電の中、チームの人、他に検討した人の中に、そういうことを言った人はいましたか?すぐに停めないと、と言った人は。いなかったでしょ?
安保:いなかったように思う。
政木:津波対策の工事で停めることがあると言ったが、それは動いているとできない工事があるということでしょ?
安保:はい。
政木:取水口を止めないと工事ができない。工事するためには原子炉を停めないといけない。そういうことでしょ?
安保:はい。
政木:少し混乱していたようなので聞きましたが、そういうことですね。
裁判長:いいですか?では、終わります。
証人退廷
裁判長:次回の9月4日の期日は取り消しということでいいですか?
では次回は9月5日、別の証人の尋問を行います。
では次回は9月5日、別の証人の尋問を行います。
閉廷16:55