6月27日いわき市労働福祉会館において、第4回総会が開催されました。
まずは講談師の神田香織さんから記念講演をしていただきました。前日に起きた自民党若手議員勉強会での暴言を受け、小気味いい政権批判から講演に突入し、神田さんが講談師を目指して、「はだしのゲン」や「チェルノブイリの祈り」を語り始めた経緯についても話されました。福島原発事故後は、日本国内の脱原発はもちろんのこと、おとなり韓国の釜山でも、古里(コリ)原発廃炉に向けたアクションに参加、「アジアも世界も脱原発に向かうべき、そのために力を合わせていきましょう。呆れ果てても諦めず!」と締めくくり、会場は大喝采に包まれました。
続いて総会が行われました。活発な質疑応答があり、全ての議案が採択され、下記決議文が大きな拍手と共に承認されました。
●決議文
2012年に私たちが切なる思いで行った告訴は、検察により不起訴とされたものの、2014年7月、東京第五検察審査会により東電元役員3人が起訴相当とされました。しかし今年1月、検察は再び全員を不起訴としたため、現在東京第五検察審査会が2回目の審議を行っており、「強制起訴」となる議決が出されるか、日々大きな期待をもって注目されています。今年1月に東電や保安院の津波対策担当者らに対して行った告訴は、たった2ヶ月半の捜査で不起訴とされ、現在東京第一検察審査会が審査を行っています。2013年に行った汚染水告発は、福島県警が捜査を継続しており、未だ結論は出ていません。
この間、吉田調書を始めとする政府事故調査委員会の調書や、国土庁の津波浸水予測図など、明らかになった事実を次々に証拠として提出しています。東京電力が、津波対策が必要であると分かっていながら、それを隠したり時間稼ぎをしたりしていたことも明らかになってきました。また、保安院もそれに加担していました。
津波対策は不可避であると認識し、対策を取らなければ不作為に問われるとまで認識しながらそれをせず事故を招き、多くの人々に膨大な損害を与えた者が、どうして罪に問われないのでしょうか。どうしてこんなに長い間、刑事裁判すら開かれないのでしょうか。私たちの望みはごく当たり前の事ではないのでしょうか。
原発事故から5年目の今、被害はまだ続いています。溶け落ちた核燃料はどこにあるのかさえ分かりません。汚染水は大量に海へ流されています。未だ放射線量の高い場所への帰還政策が強引に進められ、子どもたちの健康を心配する声はかき消され、被害者の非情な切り捨てが行われています。そのような中、原発の再稼働、原発輸出が進められようとしています。
しかし、私たちは、あきらめるわけにはいきません。罪を問われるべき者たちを刑事法廷の場に立たせるまで、あらゆる働きかけを行っていきます。
私たちの告訴は、この厳しい状況の中で、小さくとも毅然とした抗いです。奪われた生きる尊厳を取り戻す誇り高い闘いです。子どもたち未来の世代、他の生き物たち、そして自分自身に対する責任の取り方の一つであり、新しい価値観の世界を創る道の一つです。
告訴団が築いてきた、「決してバラバラにならない、生きる尊厳を取り戻す、つないだ手を離さない」という想いは、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)の設立に繋がり、被害者たちが立場を超えて結集し、力を合わせて共に歩み始めました。
様々なつながりを力とし、多くの困難の中にあってもひるまず、くじけず、あきらめず、この原発事故の責任がきちんと問われるまで、確かに歩み続けましょう。
2015年6月27日
福島原発告訴団 総会参加者一同
福島原発告訴団 総会参加者一同