2月1日、福島地検に7回目となる上申書を提出いたしました。これは2013年9月に刑事告発した「東京電力福島第一原発の汚染水海洋放出事件」について、福島地方検察庁が厳正公正な捜査を完遂して、東京電力の責任を明らかにし幹部らを起訴するよう求めるものです。福島地検前でアピールを行い、海渡弁護士、武藤団長、佐藤副団長ら10人の告発人たちが福島地検の中に入り、担当の吉武検事に「東電が、事故の当初から対応を故意に誤り、汚染水対策を未だに混乱させている責任を問い、幹部らを必ず起訴してほしい」と訴えました。
その後、福島市市民会館に移動し、海渡雄一弁護士、澤井正子さん(原子力資料情報室)を講師に集会を開き、汚染水告発の内容、上申書の報告を受けた上で、福島県民、国民の声をあげて行くことを確認しました。
汚染水対策の切り札と言われている「凍土遮水壁」が、実は実現不可能な状況にあるのではないかという講師の指摘には、会場からもどよめきが起こりました。事故当初、わずかな費用を惜しむあまり、スラリー壁方式を採用しなかったことが、今さらながらに悔やまれます。汚染水対策は様々な思惑の中で前例のない凍土壁方式が選ばれ、原子力規制委員会すら、凍結に待ったをかけねばならない状況を引き起こしています。なぜこのように悲惨な状況を迎えてしまったのか、その経緯、責任の所在を明らかにするためにも、福島地検には「起訴」を行っていただきたいと心から願っています。
上 申 書 (7)
平成28年(2016年)2月1日
福島地方検察庁 御担当検察官 殿
告発人武藤類子ほか代理人
弁護士 河合 弘之
同 保田 行雄
同 海渡 雄一
同 甫守 一樹
上申の趣旨
告発人らが平成25年(2013年)9月3日に提出した,人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(以下,「公害罪法」という)違反の罪による告発について,告発人らは以下のとおり,主張を補充する。
上申の理由
第1 原子力規制委員会における汚染水対策の議論
東京電力福島第一原子力発電所(以下,「福島第一原発」という)の汚染水問題については,国の数種類の機関でその対策等について議論が行われているが,原子力規制委員会の「特定原子力施設監視・評価検討会」においては,平成24年(2012年)12月21日から調査審議が行われている。
炉心のメルトダウンという国際原子力事故評価尺度(INES)レベル7の過酷な原子力事故を起こした福島第一原発の事故対策については,その超危険な状態に対処するため,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下,「原子炉等規制法」という)第64条第1項に基づいて,当時の経産省原子力安全・保安院が,東京電力の「施設運営計画」をもとに応急の措置として対応していた。これは,廃炉作業開始までの準備期間(3年程度以内)の安全確保を目指した応急的な措置としての規制に過ぎず,大変変則的な規制となっていた。
すなわち,福島第一原発の状況は,平常時の原子炉等規制法の規定を遵守することは困難な状況であるため,原子炉等規制法第64条(危険時の措置)に基づく応急措置によって安全性について確認し必要な規制を実施するというものであった。しかし,福島第一原発の危険な状態,特別な管理は今後も相当程度長く続くことが想定され,長期間,応急措置に基づく安全規制を行うことや,原子炉等規制法の規定を遵守できない状況を継続することは適当ではなく,こうしたことから,福島第一原発を特定原子力施設として指定することが必要とされた。特定原子力施設とは,原子力事故を発生させ応急の措置を講じている施設として指定され,設備の状況に応じ,廃炉に向けた特別な安全管理を適切に講じさせる枠組みである。指定された事業者は,原子力規制委員会から示される「措置を講ずべき事項」に基づき,「実施計画」を策定し,原子力規制委員会は計画の妥当性を評価し,対応が適切か検査することによって安全確保を行う。この特定原子力施設のため,原子炉等規制法の改正がおこなわれた(平成24年9月施行)。このように,福島第一原発は,我が国において過去に事例のない特別な施設となったのである。
このような経過から,原子力規制委員会に「特定原子力施設監視・評価検討会」が設置され,審議が行われている。
なお,福島第一原発について,東京電力は1~4号機までを廃炉と決定し,5~6号機は冷温停止中であり,一方福島県議会は1~6の全号機の廃炉を要請しており,実質原子力発電所の機能を有する状態ではない。
第2 「特定原子力施設監視・評価検討会」における審議
東京電力の「実施計画」に基づく事故対策,廃炉等の計画の妥当性を評価し,対応が適切か検査することによって安全確保を行う原子力規制委員会が担う実際の作業は,「特定原子力施設監視・評価検討会」において行われている。ここ最近においては,平成27年(2015年)12月18日に第38回,平成28年(2016年)年1月27日に第39回が開催されている。
特に,第38回の会合において東京電力は,『至近の地下水挙動ならびに陸側遮水壁閉合に関する検討結果 2015年12月18日 東京電力株式会社』(以下,『検討結果』という)を資料として提出し,原子力規制委員会に対して汚染水の現状を含む陸側遮水壁閉合に関する説明をおこなった。その内容の概要は下記である(『検討結果』1頁)。
1. 建屋周辺の地質構造・地下水位と汚染水対策実施状況
2. サブドレン稼働・海側遮水壁閉合後の建屋内外水位の現状分析
3. 陸側遮水壁閉合に関する検討結果
東京電力は今日まで汚染水対策について,「地下水バイパス,サブドレン,陸側遮水壁は,建屋内滞留水を外部に漏えいさせないことを前提とし,建屋周辺の地下水位を低下させて建屋内への地下水流入量を低減して汚染水の増加を抑制する対策である」と説明してきた(『検討結果』9頁)。例えば,地下水バイパスは建屋から離れたO.P.35m盤でくみ上げ,建屋内の溶融デブリに汚染水を近づけない事を目的とし,平成27年(2015年)5月からくみ上げを開始し,汚染水を発電所前方海域に放水している。この効果は,建屋止水と合わせて建屋内流入量が80立方メートル程度低減したとしている。サブドレンは,建屋近傍で地下水をくみ上げ,建屋内の汚染源に地下水を近づけない事を目的とし,平成27年(2015年)9月から港湾内に放水している。この設備の稼働によって,水位が段階的に低下し,それに応じて建屋内流入量が低減中としている。海側遮水壁は,発電所敷地から港湾内にながれている地下水をせき止めて漏らさないことを目的に平成27年(2015年)10月に閉合された。しかしこの閉合によって,海側に流れていた地下水が行き場を失い,地下水水位が上昇し,くみ上げが必要となる事態が発生している事が明らかになった。
『検討結果』19頁には,「汚染水発生量およびくみ上げ量(サブドレン等)の状況」がある。ここで報告されていることは,下記である。
■海側遮水壁閉合前は海洋も流出していた地下水を,閉合後はくみ上げており,O.P.4m盤でのくみ上げ量(地下水ドレン・ウエルポイント)が多くなっている。
■地下水ドレンくみ上げ水は,水質に応じて一部をサブドレンくみ上げ水とともに浄化処理・排水し,残りをウエルポイントくみ上げ水と共に建屋へ移送している。
■O.P.4m盤の汚染エリアへの地下水流入が継続しており,建屋への移送量が400m3/日程度となっている。
以上をまとめると,この報告の結論は,「サブドレン稼働前より汚染水発生量が増加した」というのである。これでは,何のためにサブドレンを稼働させたのか,全く理解に苦しむ。東京電力は再三,サブドレン稼働によって建屋内への地下水の流入量を減らし,その結果,汚染水を減らすと言ってきたのである。しかし現状は,サブドレン稼働によって建屋への地下水流入量は300m3/日程度から200m3/日程度に低減しているものの,海側遮水壁の閉合によってO.P.4m盤への地下水流入量が増加し,このくみ上げ水の放射能濃度が高いために,結局建屋へ移送しているというのである。なんのことはない,建屋への流入量が減っても,新たな汚染水がそれ以上発生(400m3/日)しているのが現状である。
さらに『検討結果』23頁「2.まとめ」の「現状の課題と対策」において東京電力は,下記のように報告している。
●海側遮水壁の閉合前は海洋に流出していた地下水を閉合後はくみ上げており,O.P.4m盤でのくみ上げ量が多くなっている。
●O.P.4m盤への地下水流入はサブドレン稼働によりある程度抑制できると考えていたが,現時点ではその効果が小さい。
●O.P.4m盤への地下水流入の十分な低減ができず,今後の豊水期にはO.P.4m盤への流入量が増加する懸念が残っている。
この報告により,海側遮水壁の成果がわずかであり,海側遮水壁によって逃げ場を失った汚染水はむしろ海側遮水壁の内側に滞留し,放射能濃度も高いため,建屋に移送されている事が明らかになった。
東京電力は,汚染水対策の切り札として海側遮水壁,陸側遮水壁の設置を計画してきた。しかし,海側遮水壁の閉合は,建屋への流入をわずかに押さえたにすぎず,結果的には汚染水を増加させることになった。このような状況は,東京電力の調査能力の欠如と断じざるを得ないし,汚染水対策が,全く対策の体をなしていないことは明らかである。海側遮水壁の閉合によってどのような状況がうまれるのか,行き場のなくなった地下水がどのような挙動を示すのか,十分な検討をせずに,ただ漫然と海側遮水壁を設置することで,汚染水対策を行っているかのように見せかけていたに過ぎない。
第3 陸側遮水壁
陸側遮水壁(凍土壁)の抱える多数の問題点については,告発人らは「告発状」や「上申書」において,再三指摘してきた。しかし東京電力はあくまで,陸側遮水壁(凍土壁)の運用(凍結)開始を求めている。『検討結果』43頁では,陸側遮水壁の凍結開始を認めるよう原子力規制委員会に求め,下記を主張している。
■サブドレンは安定的に稼働し,建屋内への地下水の流入は抑制されている。
■海側遮水壁を閉合したことで,地下水は堰き止められ,港湾内への流出が抑制された。
■海側遮水壁閉合前は海洋に流出していた地下水を,閉合後はくみ上げており,O.P.4m盤でのくみ上げ量が多くなっている。O.P.4m盤への地下水流入はサブドレン稼働によってある程度抑制できると考えていたが,現時点ではその効果が小さく,汚染エリアへの地下水流入が継続しており,建屋への移送量が400m3/日程度となっている。
■陸側遮水壁山側3辺を先行して凍結させることで,建屋周辺とO.P.+4m盤の「汚染源に水を近づけない」対策が実現する。
■陸側遮水壁閉合後の地下水位低下挙動に関し,降雨が少ない場合でも,建屋水位を低下させなくても地下水位と建屋水位が逆転しないと評価した。
■以上を踏まえて,準備が整っている陸側遮水壁山側3辺から凍結を開始する計画である。
このまとめには,大変奇妙な表現が入り込んでいる。海側遮水壁とサブドレンの運用によって汚染水を増加させた原因について,東京電力は何の反省もなく,汚染水低減策の検討もないまま,この問題への対応が,陸側遮水壁を設置することによって対応可能,問題が解決するかのごとく,説明されている。まるで陸側遮水壁の設置の目的の一つであるように位置付けられているが,これは当初,建屋への流入水を低減させ,汚染水の移動範囲を狭めるものとして説明されてきた。このような目的の安易なすり替えや,汚染水対策の場当たり的対応,そして問題の先送りに終始することによって汚染水問題をこのように複雑なものとしたことについて,東京電力は相変わらず何も反省していないのである。このような東京電力の対応には原子力規制委員会も,多くの懸念をしめしている。
第4 凍結の議論なし
「特定原子力施設監視・評価検討会」の平成27年(2015年)12月18日の第38回会合,平成28年(2016年)1月27日の第39回会合では,原子力規制委員会から論点・問題点の整理が具体的に示された。検討会での議論がかみ合っていないまま,東京電力からは陸側遮水壁閉合の計画が出されているためである。『陸側遮水壁の運用に係る設問事項及び評価 平成28年1月27日 原子力規制庁 別紙』において,陸側遮水壁に係る問題点の整理を行い東京電力の説明を求めている。これには今まで東京電力がキチンと答えていない項目が多数あるためである。例えば,今回の海側遮水壁の失敗にみられるような予測,評価の基準等や陸側遮水壁の凍結解除から「元の地下水水位」に復帰するまでの期間,等々である。これらのテーマにさまざま回答を与えても,実際の地下水の挙動を的確に把握することは難しい。東京電力は,海側遮水壁の問題のように,O.P.4m盤の汚染の原因さえ確実には捕らえられておらず,ただ陸側遮水壁の運用を求めるのは拙速としか言いようがない。検討会で,陸側遮水壁(凍土壁)の運用開始自体が議論にもならなかったのは,当然である。
第5 恒久的遮水壁が構築されていれば,今日の事態は避けられた
高濃度汚染水の増加は,原子炉建屋への地下水流入が原因であるため,汚染水対策として原子炉建屋を取り囲む地中遮水壁(スラリー構造)を建設して長期にわたって運用する必要性があり,既に述べてきた通り,被告発人らは平成23年(2011年)4月から放射性物質の拡大による海洋汚染を予見し6月の時点で,遮水壁の建設計画を公表する予定であった。
東京電力は,平成23年(2011年)6月13日付内部資料「福島第一原子力発電所地下バウンダリの基本仕様について」の別紙「地下バウンダリの基本仕様について」(甲16の1)に記載されているとおり,地下バウンダリの設置目的を「地下を通じた放射性物質の拡大による海洋汚染を防止すること」「高濃度の滞留水がこれ以上海洋に流出させないために,『後追いにならない備え』とすること」としていた。しかし,当初予定した陸側遮水壁の工事費用負担が多額にのぼることを理由に計画を撤回したため,汚染水対策が先送りされ,今日のような泥沼的状況をつくり出したのである。この時点で,恒久的な遮水壁が構築されていれば,今日の事態は避けられたのである。我々が求めているのは,この恒久的地中遮水壁の築造を見送ったことが公害罪法に違反する犯罪であることを明確化することである。
第6 凍土遮水壁は海洋汚染の防止対策として技術的条件を満たしていない
平成25年(2013年)9月,東京オリンピックの招致決定の時期になって,政府はようやく,予算の予備費から汚染水対策費用を拠出する国費の投入を決定した。凍土遮水壁の工事については,「凍土方式遮水壁大規模実証事業」として国による研究開発支援の名目によって,既存工法でない凍土遮水壁計画が採用されてきたのである。
凍土壁による汚染水対策の問題点については,告発状及び上申書において繰り返し述べてきたところである。
日本陸水学会は,平成25年(2013年)9月に「凍土遮水壁では放射性物質を長期間完全に封じ込めることが出来ないだけでなく,より大きな事故を引き起こす可能性が高い」ことを指摘し,「他の工法による原子炉及びその周辺施設を完全に外部から遮断できる抜本的な対策の選択を要望」している。
地盤工学会は,平成26年(2014年)9月,長期的な遮水工事において実績のある地中連続壁工法を主体とする工法により,原子力建屋基礎の地盤に遮水層を設け,汚染水をその場所で水密する方法をとることが第一であり,その水密された地下水の取出しの具体化は未来の世代と協働して技術開発することが必要であるとの見解を示した。
また,原子力規制委員会も,大規模凍土壁の構築と長期維持の技術的困難以外に,凍土壁運用中の「原子炉建屋内部の止水」方法の検討がないことも挙げ,凍土壁に重大な疑問を呈して来た経緯があり,原子炉建屋内外の地下水位管理を理由に,今日に至るもその運用に許可を与えていないのである。凍土壁は,高濃度汚染水による海洋汚染を未然に早急に防止する対策としては,不完全な遮水性能しかないことが明らかになっており,その技術的条件を満たしていないのである。
日弁連は平成25年(2013年)に開催された人権大会における「福島第一原子力発電所事故の被災者を救済し,被害回復を進めるための決議」において,「本件事故に由来する汚染水対策について」について,「(1) 国は,汚染水対策として実施している凍土壁建設を直ちに中止し,原子炉建屋への地下水の流入を抑止し,高濃度汚染水の原子炉敷地から外部への漏出を防止することができる恒久的遮水壁を速やかに構築すべきである。」「(2) 国及び東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は,汚染水対策に従事する労働者の被ばくを最小化する視点で工程を構築し直すとともに,労働者被ばくの状況を正確に把握し,労働者の健康保護や生活支援を十分に行うべきである。」「(3) 国は,福島第一原子力発電所の敷地,その沿岸,周辺河川及び海洋の放射線量を継続して計測し,他機関の計測結果と併せ,その情報を一元的に公開すべきである。」ことを求めている。
そして,「この凍土壁工法は,世界的にも大規模かつ長期間の運転実績がないばかりか,地下水流のある場所では不適な工法とされているものである。また,凍結解除の要件である建屋内のドライアップや止水工事は実現可能性を欠くものであり,緊急性・確実性が求められる本件事故の汚染水対策として,不適切な工法である。」としている。
第7 汚染水の海洋放出は絶対に行われるべきではない
東京電力は,高濃度汚染水問題で,地下水バイパスに続き,建屋周辺のサブドレンや海側の地下水ドレンから汚染水を汲み上げ,水処理施設でトリチウム等をのぞく放射性核種を除去して海洋放出する計画を進めている。
トリチウム汚染水の放出は,東京電力の試算で,サブドレン等の汚染水だけで一日9.65億ベクレルとされ,総量規制のないまま放出されれば,貯蔵タンクを含め総量1,000兆ベクレルのトリチウムが全量投棄されることになり海洋汚染が拡大する。トリチウム汚染は,カナダ・ピッカリング原発では人体への影響も指摘されているところである。
2014年度までに完了する約束の東京電力の汚染水対策は,完了できなかった。サブドレンで地下水の流入が半減するとした計画も平成27年(2015年)9月の海側遮水壁の閉合により,地下水ドレンで汲み上げた地下水の放射能濃度が基準値を超えたため,原子炉建屋地下に移送することとなり,逆に高濃度汚染水が増加する結果になっている。東京電力のサブドレン・地下水ドレン計画は破綻状況を呈している。これが現実である。
全国漁業協同組合連合会は,平成27年(2015年)1月,「原発事故発生以来,われわれ漁業者が汚染水の海への放出・漏出を行わないよう,再三再四強く求めてきたにもかかわらず,海洋放出等を前提とした方針が示されたことは極めて遺憾」と不快感を示し,「厳しく規制すべきところを緩和するような方針を示した理由,海洋放出による健康・環境への影響がないとする根拠などを漁業者のみならず国民全体に丁寧に説明すべき」「漁業者,国民の理解を得られない汚染水の海洋放出は絶対に行われるべきではない」と会長声明を公表した。
福島第一原発の沖合,東北地方三陸沖は,世界三大漁場の一つといわれる豊かな海である。海の恵みは,地球の宝であり,その恵みによってくらしを支え生きる漁民はじめ諸国民の宝である。被告発人らの行為は,この恵みを破壊し,人の健康に重大な影響を及ぼすものである。
第8 結語
以上のとおり,被告発人らの行為は公害罪法の構成要件に当たり,その悪質性は上述の「特定原子力施設監視・評価検討会」での被告発人らの対応をみても,明らかである。
本告発事実はその態様の悪質さや被害の深刻さからすれば,被告発人らの刑事責任は重く,起訴をしないという選択はあり得ない。
速やかに然るべき捜査を行った後,被告発人らに対し正義に則った厳正な処分を行われたい。
以上
添付資料
1.福島第一原子力発電所に係る特定原子力施設指定に伴う安全確保方法の移行について http://www.nsr.go.jp/data/000050812.pdf
2.至近の地下水挙動ならびに陸側遮水壁閉合に関する検討結果 2015年12月18日 東京電力株式会社http://www.nsr.go.jp/data/000133831.pdf
3.陸側遮水壁の運用に係る設問事項及び評価 平成28年1月27日
原子力規制庁 http://www.nsr.go.jp/data/000137654.pdf