報告会・記者会見で解説をする海渡弁護士と甫守弁護士 |
2018年2月28日、双方請求の証人喚問が行われました。証人は東電設計(株)の久保さん。東電設計は原発施設の調査、設計、管理を行う東京電力のグループ企業で、証人は平成19年(2007)に、同年に起きた中越地震を受けて、東電からバックチェックの一環として1Fと2Fの津波評価を業務委託されました。平成20年(2008)、最大で15.7mを超える可能性があることを含む報告書が黒表紙の分厚いファイルにまとめられ、東電の担当者に伝えられました(当時の担当者の反応は「覚えていない」と証言)。その1カ月後くらいに、東電担当者から「解析条件を変えることで、津波想定の数値を小さくできないか」と再検討依頼!! 証人は「数値は土木学会の長期評価に則ったもので、それはできない。解析条件を変えて試算しても数値は15mを超え、ほとんど影響なかった」また「いずれにせよ非常電源の場所は上回っており対策が必要」と伝えたことを証言しました。証人は敷地10m盤の上に10mの防潮堤を作るシミュレーションも作成していました。
午後、被告の弁護士から、平成26年(2014)に証人が作成した防潮堤のシミュレーション図3点が示されました。レゴブロックで作ったかのように凸凹した形の防潮堤の図表は、311で津波がどのように当たり分散されたか、東電が東京地検(検察審査会)に提出するためのものだったとのこと。この図では、防潮堤で津波は防ぎきれなかった、防潮堤に当たるとさらに波が高くなる可能性もあった、防潮堤が壊れる危険性もあったなどとされ、事故が起きた後で東電が責任回避のアリバイ作りに奔走していた様子が伺い知れました。
最後に裁判官から「平成20年の報告書は、東電の担当者以外、知らせなかったのか」と問われ、証人は「どこから耳に入ったのか、本部長と社長からどうなっているのか訊かれ、説明したことがある」と証言。(え~、社長って、清水? 清水?)と傍聴席はざわつきましたが、東電設計の土木本部長と社長であることがすぐそのあとの証言でわかりました。しかし、東電担当者に伝えた「最大15.7m」の衝撃は、驚きをもって東電社内に伝わったことが明白になった瞬間でした。
■動画
・UPLAN【裁判所前集会・報告集会】福島原発刑事裁判第4回公判・崎山比早子講演
・UPLAN【記者会見・報告会】福島原発刑事裁判第4回公判