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2013年10月22日
検察審査会申立の対象者を東京電力の原子力担当役員6名に限定した理由について
弁護士 河合 弘之
同 保田 行雄
同 海渡 雄一
告訴団のみなさまへ
検察審査会申立の対象者を東京電力の原子力担当役員6名に限定した理由は、以下のとおりです。他の被告訴人を許したわけではありません。検察審査会の委員である市民の理解を得るため、争点を減らし、より良い決定を得るために、告訴団と弁護団で討論を重ねた結果です。どうかご了解下さい。
【理由】
1 東京電力のなかでは、原子力関係の対策の意思決定は原子力担当役員の手に委ねられていた。他の役員には清水社長も含め、予見可能性はあったかもしれないが、適切な対策を講ずることは困難だったと判断し、6名に審査の対象者を限定した。
2 保安院、原子力安全委員会の関係者については、組織としての責任はあると考えるが、東京電力の津波対策を担当していた担当者とその行動については、現時点でも明らかにできていない。告訴の対象としていた組織のトップは、東京電力の津波対策について認識があったとする証拠は得られていない。個人責任を問うていく、刑事訴訟の当事者として適切な被疑者を特定するに至っていない。そこで、組織としての保安院、原子力安全委員会を免責するわけではないが、審査の対象からは除くこととした。
3 文部科学省と山下ら健康管理アドバイザーには、深刻な高線量地域を隠蔽し、事実に反する低線量被曝宣伝によって、多くの住民に不必要な被曝を余儀なくさせた。
検察庁は甲状腺ガンについて因果関係は認めていないが、否定もしていない。過失の点で不起訴という判断を決め、因果関係については不明という立場である。
現在発症している甲状腺ガンやその他の疾病について、今後、放射線に起因することが確認され、関係者の中から告訴人が名乗り出た場合には、彼らの行為は明らかに業務上過失致死傷に該当し、あらたな闘いは十分可能である。
今後、県民健康管理調査と甲状腺ガン等について、情報をフォローし、適切な時期に適切な対応を行うことを留保しつつ、今回は争点を単純化し、東電役員の起訴相当の決定をとることを最優先の獲得目標とし、審査の対象から外した。