2013年11月7日木曜日

検察審査会の申立て対象を6人に限定したことについて(役員会)

検察審査会の申立て対象を6人に限定したことについて(告訴団役員会から)
 
福島原発告訴団 団長 武藤類子
 
原発告訴団は東京地検の「全員不起訴」の処分に対して、10月16日、東京検察審査会に申し立てをしました。
被疑者は、東京電力の役員の6人としました。
昨年の告訴では被告訴人を、東京電力役員だけではなく、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、原子力委員会、文科省の役人、放射線リスク健康管理アドバイザーの学者など33人と法人としての東京電力としました。
なぜ今回対象を絞ったのか、弁護団からの説明はすでにブログに公開していますが、告訴団役員会からもご説明したいと思います。
 
本来でしたら「検察審査会への申し立て」を告訴人のみなさまへ呼びかける際に「被疑者の限定」のことについて、経緯と結論をご説明申し上げなくてはいけなかったのですが、申し立ての準備を人々の記憶に新しい内にしなければならないことと、被疑者の限定についての話し合いに時間を要したために、丁寧な手続きを取れなかったことをお詫び申し上げます。
 
弁護団から、被疑者を絞るという提案があり、何度も議論を重ねました。「保安院は東電の不作為を知っていて見逃した」「山下氏の犯罪的行為は許せない」「今回嫌疑不十分の者は被疑者に入れるべきだ」「告訴団の目的とは何か」などの意見がでました。どれももっともな意見であり、役員会としても今回の被疑者以外の人たちに責任がないとは全く思っていません。しかし、検察審査会は一般市民から選ばれる11人の審査員であり、明確に被疑者の犯罪性を分かって頂かなければなりません。このような甚大な被害がもたらされた事故の責任はどこにあるのかを明らかにするために、審議が散漫にならないよう、はっきりした証拠が提示できる被疑者に絞ることは妥当だと考えました。検察が強制捜査、家宅捜索を行えば出てくるはずの証拠や資料が押収されなかったために、明らかにされていない事実が沢山あるはずです。強制起訴の判断を得て裁判が行われれば、今回外した被疑者を法廷に立たせることもできると思います。
そのような観点から弁護団の提示を受け入れ、被疑者の限定に同意致しました。今後、文科省や放射線リスク健康管理アドバイザーなどの犯罪性については、健康被害の実態が明らかにされていく過程で原因が放射能によるものと確認された場合に、新たな告訴をしていくことができるのではないかと考えています。
今回の告訴団の決断をご了承下さいますように宜しくお願い致します。
 
また、公害犯罪処罰法については、9月3日に汚染水放出事件の告発を行い、10月11日に受理されました。こちらも合わせて追求をしていきたいと思います。
東京検察審査会による「起訴相当」もたやすい道ではないと思いますが、みなさんにご協力頂き、真実を明らかにし、ひるむことなくこの事故の責任を問いただしていきましょう。
 
2013年10月31日