福島原発告訴団は、明日9月3日(火)午前9:30に福島県警察本部へ、東京電力株式会社とその経営幹部を「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律3条」の違反で刑事告発を致します。
福島第一原発の汚染水対策の責任は東京電力に課せられています。
しかしながら東京電力は、汚染水管理のために必要な注意義務を怠り、適切な対策をとらず、タンクからの高濃度汚染水漏れを引き起こしました。また、地下水の建屋への浸透による汚染水の海への流出を防げず、汚染を拡大したことは公害罪法3条違反にあたると、私たちは考えます。
今朝、産経新聞が「週内にも不起訴とする方針を固めた」というリーク報道を行いましたが、今回も、その信憑性はわかりません。東電原発事故、菅元首相ら週内にも不起訴へ 検察当局、過失認定できず(産経新聞)
私たちはあきらめずに、この原発事故の責任を問い続けます。
■ 9月3日(火)の行動予定
- 9:00集合 福島県庁西庁舎 2階ロビーで打ち合わせ
- 9:30告発状提出 福島県警察本部へ告発状提出
- 11:00記者会見 福島県庁2階 県政記者室
東京では、同日10時から、司法記者クラブにて記者会見を行います。
↓ 追記にプレスリリースがあります。
■ プレスリリース
2013年9月3日
福島原発告訴団・弁護団
福島原発告訴団・弁護団
本日の告発について
1.本日、武藤類子(福島原発告訴団団長)ら3名のものは福島県警に対して、東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件に関して、東京電力元幹部武藤栄ら32名及び法人としての東京電力株式会社を公害罪の被疑事実でそれぞれ刑事告発した。
2.被告発人(32名)
- 武藤 栄 東京電力株式会社 前・取締役副社長(~2011年6月)原子力・立地本部長
- 勝俣 恒久 東京電力株式会社 取締役会長(~2012年6月)
- 皷 紀男 東京電力株式会社 取締役副社長(~2012年6月) 福島原子力被災者支 援対策本部名長原子力・立地本部副本部長
- 西澤 俊夫 東京電力株式会社 取締役社長(~2012年6月)
- 小森 明生 東京電力株式会社 常務取締役(~2012年6月)原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長
- 清水 正孝 東京電力株式会社 前・取締役社長(~2011年6月)
- 藤原 万喜夫 東京電力株式会社 常任監査役(~2011年6月)・監査役会会長
- 古谷昌伯 東京電力株式会社 取締役(~2012年6月)
- 高橋 彰 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
- 片岡 和久 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
- 横田 昌史 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
- 下河邉 和彦 東京電力株式会社 取締役会長
- 廣瀬 直己 東京電力株式会社 代表執行役社長、取締役、執行役
- 相澤 善吾 東京電力株式会社 代表執行役副社長取締役、執行役取締役副社長
- 山口 博 東京電力株式会社 取締役代表執行役副社長
- 石崎 芳行 東京電力株式会社 代表執行役副社長
- 嶋田 隆 東京電力株式会社 取締役、執行役
- 内藤 義博 東京電力株式会社 取締役、
- 數土 文夫 東京電力株式会社 取締役
- 能見 公一 東京電力株式会社 取締役
- 小林 喜光 東京電力株式会社 取締役
- 樫谷 隆夫 東京電力株式会社 取締役
- 藤森 義明 東京電力株式会社 常務執行役
- 佐野 敏弘 東京電力株式会社 常務執行役
- 村松 衛 東京電力株式会社 常務執行役
- 新妻 常正 東京電力株式会社 常務執行役
- 武部 俊郎 東京電力株式会社 常務執行役
- 増田 祐治 東京電力株式会社 常務執行役
- 山崎 剛 東京電力株式会社 常務執行役
- 住吉 克之 東京電力株式会社 常務執行役
- 姉川 尚史 東京電力株式会社 常務執行役
- 壹岐 素巳 東京電力株式会社 常務執行役
- 法人としての東京電力株式会社
3.罪名
人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)
- 3条2項 東電役員、元役員ら33名
- 3条2項、4条 法人としての東京電力株式会社
4.告発の内容
(1)タンクからの漏洩
(a)注意義務
東京電力は、人の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水を貯蔵するために設置した応急仮設タンクからの汚染水漏洩を防ぐため,応急仮設タンクを早期に通常の強度と安全性を備えたタンクに切り替え,またタンク周りに設置された堰に設けられた排水弁を開放したままにすることなく,止栓して,仮にタンクからの流入が起きても,海洋への流出を防ぎ,さらにタンクからの漏洩が起きていないかを確実に検知し,速やかに漏洩防止の措置をとるなどの善管注意義務を負っていた。
(b)東京電力による漏洩
これらの注意義務をことごとく怠り,平成25年(2013年)7月までに,タンクに損傷を引きおこし,汚染水のタンクからの約300トンの汚染水の漏洩に引き続いて海洋環境への漏洩を引きおこし,また,これを速やかに検知して漏出を早期に食い止めることができず,事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を大量に排出した,
(2)地下水からの漏洩
(a)注意義務と過失
福島第1原発の原子炉建屋地下には山側から海方向に毎日約1000トンの地下水の流れがあり,これを迂回させて海に排出する確実な経路を確保しなければ,早晩地下水が建屋地下に流入し,炉心溶融により建屋地下に貯留している放射性物質と接触し,放射性物質に汚染された状態となって海に排出される事態となることを認識しながら,平成23年(2011年)6月17日政府から検討を求められた原子炉施設を囲む遮水壁の設置について,経営破綻を危惧して中長期的対策として問題を先送りにし,その後約2年間にわたり,抜本的対策を講ずることなく放置し,また危機的な状況を政府規制担当者らに説明しなかった。
(b)東京電力による漏洩
日付不明の時期から今日に至るまで,毎日300ないし400トンの,東京電力が認めているだけで,平成23年(2011年)5月以降,海洋に流出したセシウム137は20兆ベクレル,ストロンチウムは10兆ベクレルに上る人の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水の海洋への排出を引きおこし,事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出した,
(3)告発のポイント
福島第一原発事故の収束もないまま、福島原発告訴団の告訴・告発は不起訴にするとの報道がまことしやかに流れている。
本件東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件が発生したのは、まさに地検が上記告訴・告発について、真摯に捜査、検討せず、東京電力に何をやっても許されるという慢心を与えたためである。
本件告発では、本件の捜査を福島県民に寄り添い、その痛みを最も近くで理解している福島県警の手に委ねることとした。