13日16時、東京・福島の両検事から、不起訴処分に至った経緯を説明いただきました。東京地検に入ったのは、弁護団の河合弁護士、海渡弁護士、告訴人12人の計14人。先に検事から、不起訴処分の説明を聴き、その後、質疑応答に入りました。
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Q:福島の事件を東京地検へ移送した理由は。
A:過失の内容が共通していたため、合同で捜査を分担してきた。処分を下すにあたって、被告訴人の多くが東京に住み、東京地検が主たる捜査を担当したため、安定性・統一性の見地から東京に移送することとした。
Q:何回も確認したはずだ。処分の通知はどこから出されるのかと。福島だというお話だった。
A:その件には異議がある。福島で告訴された事件は福島が処分を出す、それは当然だとお話しただけだ。移送するかという質問ではなかった。
Q:福島の検察審査会に、申立書を出させないための政治的な移送ではないのか。
A:そのような意図はない。
Q:一部報道で、結論ありき、不起訴のための捜査だったと書かれているが、それは本当か。
(配布資料:北海道新聞 9月11日)
A:そのような事実はない。
Q:では、新聞社に抗議したのか。
A:していない。新聞社への抗議は、私が判断する問題ではない。
Q:中央防災会議が、推本(地震調査研究推進本部)の長期評価の公表に、「今回の発表は見送る」「この長期予測は信頼性が低い」「相当の誤差を含んでいる」などの文言を付加するようメールが送られたという。これが原子力ムラの実体ではないか。このような圧力を加えられていたことは、捜査したのか。
A:中央防災会議だけではなく、専門家から聞いた。その詳細は言えない。
Q:津波の高さ15.7メートルの試算が出ていた。一番厳しい、苛酷な条件の津波にも耐えられるように対策するのが当然ではないか。
A:当時の社会的認識では今すぐ対策をとる必要はなかった。止めておけばよかったではなく、止めるべき義務があったのかどうかが問題。
Q:被曝は傷害だと訴えてきたことに答えがなかったが。
A:被害結果がこれから出るであろうことは否定できない。しかし犯罪行為があり、過失行為が合理的疑いを持たない程度に立証できるのかが問題だ。可能性では足りない。立証できるかが判断の材料。
Q:なぜ強制捜査をしないのか。任意では自分に有利な証拠しか出さないのは当然ではないか。
A:必要な捜査は尽くした。詳細は言えない。
Q:電源の移設や水密化など、他に取るべき対策があったはずだが。
A:電源を高台に置いただけでは、今回の事故は防げなかった。今回は津波で電源盤がやられたことが原因であって、原発の構造を変えなくてはならず、その工事には2~3年かかるだろう。
Q:告訴人の数からいえば、福島が圧倒的。逆に、福島地検に移送することもできたのでは。
A:過失を捜査したのは東京地検であり、必要な捜査を尽くした上での判断だ。
Q:福島でも説明会をお願いしているが、20人といった少数ではなく、もっと大きな会場にさせてほしい。
A:追って相談。
ほかにも不起訴理由に関する細かい質疑応答がありましたが、まるで東電の弁護士さんかと思うくらい、立件できない理由を語り続ける検事たち。どのような捜査をしたかについては、「詳細は言えない」の一点張りで、一切わかりませんでした。
海渡弁護士が、「やれば避けられた事態を、やらなかった人たちを庇うために、汲々とされていることが、私には理解できない・・・」と語り、それは参加した全員の気持ちでした。
17時30分から19時までは、東京弁護士会館に場所を移して報告集会。今後も責任追及を決して諦めない、その覚悟を確認しあいました。
「東電の弁明を丸ごと採用して、不起訴ありきの捜査をしました」と言われているように感じた説明会。次回は福島県で説明会開催の予定です。詳細は決まり次第、当ブログにて発表します。
■動画
■報道
原発事故の責任 不起訴理由を説明(NHK)
原発事故捜査/責任はさらに追及すべきだ(河北新報9月14日社説)
東電幹部不起訴 告訴団側に説明 「説得力なし」(毎日新聞9月14日福島面)
※ WEB掲載見つからず、画像にて。